はじめに
自分が持っている公的保障・企業内保障などを確認する
次に確認しておくことは、公的保障と企業内保障です。例えば、会社員や公務員が加入する健康保険は、病気やけがで仕事を休んで給与が出ない場合、所得保障として4日目から最長1年6か月まで給与の3分の2がもらえる「傷病手当金」があります。
また、勤務先の健康保険によりますが、傷病手当金の延長や見舞金、入院時の差額ベッド代の補助など独自のサポートが備わっているケースもあります。また、これらの支給があったとしても不安な場合には、勤務先の福利厚生制度にGLTD制度があるか調べておきましょう。GLTD制度は正式名称を団体長期障害所得補償保険といいます。病気やケガで長期間働けなくなった従業員に対して所得の減少をカバーする企業向けの保険です。後述する民間の就業不能保険と内容や保険料を比べて検討してみましょう。
これら勤務先の福利厚生制度については、勤務先の総務など担当部署に確認する、あるいは、社内のイントラネットに掲載があるか調べておくことをオススメします。
民間の保険は「必要な分だけ」x「最低限の保険料」で加入する
ここまでの解説で、働けなくなった時の住宅ローン返済について不安は解消されたでしょうか? 特に、家計の大黒柱が夫のみの場合、最大の不安は働けなくなった時の経済リスクといえます。実際の相談現場でも感じていることがあります。万が一の死亡保険に加入している人は多いものの、就労不能時への備えが手薄な人は意外と多いことです。特に50代以降になると、妻が働いて夫の収入分をカバーするのは非常に厳しいことが想定されますので、少しでも不安がある場合は民間の保険でカバーするのも一つの選択です。
民間の就業不能保険は、病気やけがで働けなくなった時に毎月保険金を受け取れます。ただし、各保険会社によって就業不能の要件が異なるため事前にしっかり確認する必要があります。具体的には2つのポイントを明確にしておくことです。1つ目はどの様な状態になったら保険金を受け取れるかです。例えば、入院している、医師の指示による在宅療養をしている、精神疾患は対象外、など取り決めを確認しましょう。
2つ目は保険金の支払い内容についてです。先述の通り、働けなくなっても傷病手当金などがありますから、いきなり無収入になるわけではありません。商品によっては、傷病手当金が出る期間の保険金を50%にして保険料を抑えるタイプ、就業不能61日目から保険金が出るタイプなどさまざまです。
以上から、自分が必要な保障を明確にして、民間の保険は「必要な分だけ」、そして「最低限の保険料」で加入したいところです。
以上、働けなくなった時の住宅ローン返済についての対策を解説してきました。ぜひ自分の傷病手当金や会社の福利厚生制度を確認して、必要があれば民間の保険を検討して万全に整えておきましょう。