はじめに

退職後11年間は家計の年間収支が赤字に


Mさんには私立の小学校と中学校に通う子どもが2人おり、教育費に年間約200万円かかります。公立小学校の教育費は1年間で平均約35万円、公立中学校では平均約53万円となり、公立小中学校に比べると年約110万円もの差があります。

Mさんが退職すれば、家計の年間手取り収入が約40%減ります。子ども2人を大学まで私学に通わせた場合、家計の年間収支はMさんの退職後11年間は赤字となり、トータルの赤字額は約750万円になります。

今の貯蓄をできる限り取崩したくないとのことですが、退職後そのまま働かない場合には、貯蓄を取崩さざるを得ません。しかし、仮に貯蓄の取崩しが11年間続いたとしても、Mさんの家計は金融資産1,350万円で黒字となります。子どもの教育費で赤字に転じることのない家計となっているので安心いただけるのではないでしょうか。

働き方が変わるタイミングで保険の見直しを

11年間の年間収支の赤字を減らすために、働き方の変わるタイミングで保険の見直しを検討しましょう。

その理由として家計の支出の中で、保険料の支出の割合が大きいことが挙げられます。保険料は固定費として毎月一定額が出ていくものなので、見直すと家計の負担がかなり変わってきます。

保険を見直す際には、必要保障額という考え方を押さえておきましょう。必要保障額とは、遺された家族の支出(生活費、住居費、教育費など)から収入(遺族年金や貯蓄など)を差引いた金額(=不足額)となります。つまり残された遺族が生活するにあたり、“いくら保障を準備しておけば安心か”という1つのバロメーターになるものです。

保険の見直しでいくら変わる?

Mさん退職後、夫にもしものことがあった時の必要保障額は約4,300万円となります。現在加入している保険の死亡保障が約1,300万円となり約3,000万円の不足が生じます。

Mさんは今まで死亡保障保険を契約する際に、「貯蓄型」にこだわってきました。「掛捨て型」はお金を捨てているようでもったいないと感じていたそうです。そのため保険料が高いわりに、死亡保障が低くなっていました。

現在、夫名義で契約しているドル型終身保険(貯蓄型)の死亡保障は約1,000万円、年間保険料が約24万円です(為替レートによって変動あり)。こちらを解約し、契約初年度死亡保障3,000万円(夫56歳までの15年間の契約。逓減定期保険)の掛捨て保険に加入すると、年間保険料は約13万円となり、年間11万円を削減できます。貯蓄型から掛捨て型に変更することで、保険料を抑えて、死亡保障を増やすことができ、夫に万一のことがあっても教育費を払っていけます。さらに、Mさん名義の生前給付保険(貯蓄型)と円建て終身保険(貯蓄型)を払済みに変更することで年間保険料を26万円削減できます。払済みとは、払込み期間が終わっていない保険料の払込みを中止することです。払込みを中止した後も、万一の保障額は下がりますが、引続き保障を受けることができます。

以上の見直しをすることで、年間保険料が78万円から41万円となり、年37万円減らせます。

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