はじめに

IPO銘柄への投資は「セカンダリー投資」がメイン


IPO株への投資は、大きく2つに分けられます。1つは、上場する前に抽選に応募し、当選を待つ方法。もう1つは、上場してから買う方法です。1つ目の抽選に応募する方法は、上場の際の主幹事(上場前後に必要な手続きに関して中心的な役割を務める証券会社)になるケースが多い証券会社から応募したり、複数の証券会社に口座を開いたりすることで当選確率を上げることは可能です。

また、IPO投資を得意とする著名投資家によると、「時には証券会社の営業と懇意になるために勧められるままに投信を買ったり、その口座で大口の取引をしたりすることでも当選確率を上げられる」とのこと。しかし、こうした方法は、あくまで資金や投資経験が豊富な投資家向け。初心者向きの方法とは言えないでしょう。人気のIPOの当選確率は1~2%、あるいはそれ以下とも言われていて、基本的には辛抱強く応募を続け、当選を待つしかありません。

もう1つの「上場してから買う」方法は「セカンダリー投資」と呼ばれ、IPO株投資のメインルートになります。上場後は、証券会社に口座を開きさえすれば、他の個別銘柄などと同じように売買することが可能です。IPO株の抽選に外れてしまった場合でも、こちらの方法であれば、自分の資金力と相談しつつ、自分の好きなタイミングで売買することができます。

初値が公開価格の2倍以上に値上がりしたIPO株には要注意

実は、12月は最もIPO投資がアツい月。それは、12月が1年のうちで最もIPOが多い月だからです。2022年までの10年間で、その年の全IPO件数に占める12月の割合は、平均で24%程度。その年のIPOの約4分の1が12月に集中しています。

1つの月にIPOが集中すると、個人投資家の資金は1銘柄に集中せず、買いが分散します。そんな状況においても、初値(上場してから初めてついた株価)が公開価格(株を売り出す価格)の何倍にも上昇するような人気の銘柄は誕生しますが、そうした「超人気銘柄」以外のIPO株に関しては、買いの資金が分散し、「普通ならもっと高く評価されてもいい」銘柄が出てきます。ここがターゲットになるわけです。

2018年から2022年の5年間、12月に上場したIPO株で、「初値が公募価格割れ」した不人気銘柄は全部で25銘柄。そのうち、6割の銘柄で「セカンダリー投資」によって大きな利益を得るチャンスがありました。中には、ライフドリンクカンパニー(証券コード:2585)やメドレー(4480)のように、初値から4倍前後に上昇している銘柄もあります。

一方で、やはり2018年以降の5年間、12月上場のIPO株で「初値が公開価格の2倍以上」になった=当時は人気が集まった銘柄に関しては、2023年の11月30日時点で現在の株価が初値を上回っている銘柄は、なんとWDBココ(7079)の1銘柄のみ。現在の株価が初値から10分の1以下になっている銘柄が2銘柄あるほか、それに近い暴落になっている銘柄も少なくありません。

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