はじめに
ワンストップ特例が使えないケース
では、ワンストップ特例が使えないケースとはどのような状況なのでしょうか。
●寄附先の自治体の数が5つ以上になってしまった
最終的に1年間(1月1日~12月31日)の寄付先の自治体の数が5つ以上になってしまった場合には、ワンストップ特例は受けられません。それまで全ての寄附のタイミングで「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出していたとしても、確定申告を行わなければならなくなります。
その際、それまでに提出した「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」は、確定申告を行った時点で無効になります。
●医療費控除の適用を受ける
医療費控除とは、生計を一つにする家族や親族の1年間の医療費が10万円を超えた場合、超えた部分について所得控除が受けられる制度です。
医療費控除の適用を受けるには、確定申告で行わなければならず、ワンストップ特例の適用要件である「確定申告が不要の給与所得者」を満たしません。
そのため、ふるさと納税についても確定申告を行わなければなりません。
●ワンストップ特例の提出期限に間に合わなかった
うえでも説明したとおり、ワンストップ特例を利用するには寄附の都度「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附先の自治体に送付しなければなりません。
また、送付には申請書と合わせてマイナンバーカードなど、本人が確認できる書類も必要です。
さらに、ワンストップ特例には提出期限が設けられており、寄附した翌年の1月10日までです。年末ギリギリに寄附をしたり、送付した申請書や必要書類に不備があったりなどで受け付けてもらえなかった場合は、ワンストップ特例を利用できず、確定申告を行わなければなりません。
●住宅ローン控除適用の1年目
住宅を購入するにあたり、住宅ローンを利用した人に対して、一定の要件を満たす場合には住宅ローン控除が用意されています。そして、住宅ローン控除の適用を受けるにあたり、1年目は必ず確定申告で行わなければなりません。なぜなら、1年目は登記簿謄本など申告に必要な書類が多いからです。
そのため、住宅ローン控除の適用を受ける最初の年は、必ず確定申告を行わなければならないため、ワンストップ特例は利用できません。
●副業を行っている
最近では副業が認められ、本来の給与所得以外の所得がある人も多いのではないでしょうか。副業で得た所得は主に雑所得として収入から経費を引いた額が所得金額になりますが、給与所得以外の所得がある以上、確定申告を行わなければならず、ワンストップ特例の対象にはなりません。
一般的に副業で得た収入が20万円を超えなければ確定申告の必要はないといわれていますが、それは所得税の申告のことで、住民税についての申告は住んでいる自治体に対して行わなければならないことを覚えておきましょう。