はじめに
最近、「格安リゾートマンションが狙い目!」といった情報を時々見かけるようになりました。
リゾートマンションとは、別荘用途に郊外に建てられた区分マンションで、主に避暑地や眺望のいい立地にある傾向があります。定住するというよりは、週末や大型連休などの休暇を充実することを想定した造りになっているため、共用部に温泉大浴場やプールがあるなど、住宅地の一般的なマンションに比べて豪華な仕様になっている特徴があります。
高度経済成長期を中心に、1960年代からこういったリゾートマンションの建設がはじまり、好景気やレジャーブームも相まって、多くのリゾートマンションが高値で取引されました。なかには、新築時に3000万円を超えるようなマンションもあったそうです。
そんなリゾートマンションが、今10万円で売りに出されているのです。豪華な設備があるにもかかわらず、不動産の価格とは思えない安価で売りに出されています。
“タダより高いものはない”ということわざがありますが、やはり、ここまで安いと、何か裏があるのか、本当に狙い目のレア情報なのか、いろいろ不安になってしまいます。
そこで、この記事では、
・格安リゾートマンションが売りに出されているカラクリ
・リゾートマンションを買う時の注意点
について解説していきます。
格安リゾートマンションが売りに出されているカラクリ
新築時はウン千万するマンションが、なぜ10万円といった信じられない価格で売りに出されているのでしょうか。
ここまで安いと、実は事故物件や欠陥物件ではないか、契約直前にとんでもない手数料を請求されたり、マンションとは関係ないサービスや商品を強制的に買わされたりなど、何か”ウラ”があるのではないかと、よからぬ想像が膨らんでしまいます。
しかし、実際にはそのような危険な裏側があるのではなく、このカラクリの答えは単純で、「リゾートマンションがとんでもない供給過多になっている」からなのです。
不動産は需要と供給のバランスによって価格が形成されます。人口が多く、商業も発展している都市部の不動産は欲しい人が多いぶん、取引価格は高くなりますし、人口の少ない地方部の不動産はその反対に安くなります。
つまり、今リゾートマンションを欲しい人に対して、手放したい人が桁違いに多いために、「もう10万円でもいいから、買ってくれる人がいるならば売りたい」と思っている人が現れているわけです。
ただ、いくら供給過多の市況とはいえ、わざわざ多額の財産をはたいて購入した不動産を、ほぼゼロに近いような金額で売却するのは、相当な”損切り”になるわけで、余程の理由や動機が無い限り、そこまでの損切りをしようとする人が多いのは不自然とも思えます。
ここからは、なぜそこまで大胆な損切りを迫られるほど、リゾートマンションの所有者が売却に動いているのか、筆者が考える注意点とともに、その理由をみていきたいと思います。