はじめに
リゾートマンションを買う時の注意点
リゾートマンションの所有者が売却を急ぎ、格安リゾートマンションが出現している背景に「供給過多」があるとご紹介しましたが、さらにその背景には、これからリゾートマンションを買う方にとっての「注意点」ともいえる問題がいくつか潜んでいます。
①老朽化が進んでいる
一つ目の注意点は、「老朽化が進んでいる」ことに派生した課題が多い点です。
冒頭でご紹介した通り、リゾートマンションは、特に好景気であった1960~1980年代頃に新築されました。一方、バブルが崩壊し景気低迷した1990年代以降に新築されたリゾートマンションは激減しています。
つまり、今現存しているリゾートマンションの多くは、老朽化が進んでいるのです。そうすると、室内外のほか、マンション全体の不具合修繕や設備更新の必要性が高まり、維持費などのランニングコストが年々かさんでいくリスクが高まります。
また、間取りや建物設備も新築当時の仕様で、今の住宅トレンドに比べて陳腐化が進み、購入を敬遠されてしまうことも一因にあります。例えば、一昔前には「ゆっくりできる和室」や「部屋を広くするために、水回りをコンパクトにまとめた3点ユニットバス(ビジネスホテルのような、浴槽とトイレが同室の水回り)」が一種のトレンドになっていることもありました。しかし、最近では和室や3点ユニットは、こういった設備を好む一部の層を除いては、ほぼ魅力ではなく、むしろ敬遠される対象に見られてしまいます。
そのため、現所有者にとっては、「これから修繕費がどんどん膨らんだり、大金をかけて室内設備を今のトレンドに改修したりするくらいならば、格安で売ってしまった方が、相対的に損が抑えられそう」といった判断から、格安での売却に動いているのです。
したがって、これから格安リゾートマンションを買う側にとっては、購入金額は安くとも、修繕費や改修費など、「購入後、老朽化対策にかかる費用が相応にかかる」点をきちんと理解した上で検討する必要があるといえます。
②管理費が高い
もう一つの注意点として、「管理費が高い」点です。
先にも少し触れた通り、リゾートマンションの特徴の一つに、マンション内に大浴場やプールがあるなど、共用部が豪華な傾向があります。
しかし、これを維持するには、当然ながらその維持経費がかかります。そして、その維持経費は、マンション所有者が費用を出し合って賄う必要があります。
こういった背景から、例えばリゾートマンションの管理費は、一般的なマンションに比べて高額になりがちで、1ヶ月あたりの管理費が数万円を超えるケースも珍しくありません。もちろん、立地環境やマンション設備、総戸数などにより管理費が決まるため、一概にいえませんが、同規模のリゾートマンションと一般的なマンションを比べると、倍以上の費用差が生じることもあるのです。
そのため、年に何回かリゾートマンションを使用している所有者ならばまだしも、高齢やライフスタイルの変化などで足が遠のいてしまい、1年でまったく使用していないこともある所有者にとっては、「何も使っていないものに、毎年数十万単位の支出をしている」ことになります。そのため、これ以上の”意味のない支出”を食い止めるために、格安でもいいから売却したいという動機が強くなっているのです。
特に、老朽化による管理箇所が増えることとも相まって、将来の大規模修繕に備えて、管理費とともに徴収されることが一般的な「修繕積立金」も、築年数に応じて値上げされる傾向にあり、その動機にますます拍車がかかっています。
以上から、リゾートマンションを買う側にとっても、「購入後、相応の管理費負担がかかり、その管理費が年々上がっているかもしれない」という点を十分に意識して、なるべく購入前に
・毎月の管理費・修繕積立金がいくらかかるのか
・管理費・修繕積立金は、どのような名目に使われている/使われる予定があるのか
・今後、管理費・修繕積立金の値上げの計画はどうなっているか
といった点も確認しておき、中長期的な支出シミュレーションをしたうえで決断することがベターであるといえます。