はじめに
空調関連企業3社の決算は?
まずは、空調工事最大手の高砂熱学工業(1969)の直近決算を見てみましょう。
画像:高砂熱学工業「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
5月14日に発表された2024年3月期の①売上高は363,366(百万円)、②前年比7.2%、③営業利益24,192(百万円)、④前年比+57.8%と大幅の増益着地です。この期は、2回上方修正していますので、会社からしても想定以上に好調だったことが分かります。
画像:高砂熱学工業「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
今期予想は、①売上高は370,000(百万円)、②前年比1.8%、③営業利益25,700(百万円)、④前年比+6.2%と伸び率は前期に比べると物足りない感じがしますが、期首を控えめに見積もっているとも考えられます。今期は、半導体向けの産業設備が伸びることが想定されていますので、やはり生成AI関連といえるでしょう。
次に空調のほか、電気、水道衛生など設備工事全般を請け負う老舗総合設備会社ダイダン(1980)の決算をチェックします。
画像:ダイダン「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
5月9日に発売された2024年3月期は、①売上高は197,431(百万円)、②前年比6.2%、③営業利益10,877(百万円)、④前年比+29.1%と好調。
画像:ダイダン「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
さらに、新年度である25年3月期は、①売上高は250,000(百万円)、②前年比26.6%、③営業利益15,000(百万円)、④前年比+37.9%と、伸び率でいえば、高砂熱学を大きく上回る予想です。営業利益はなんと31期ぶりの過去最高益更新。会社四季報春号には「超大型半導体案件」を受注したとあります。
最後に三井物産系の空調設備工事を請け負う新日本空調(1952)を確認します。
画像:新日本空調「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 」
5月10日に発売された2024年3月期は、①売上高は127,978(百万円)、②前年比14.0%、③営業利益9,235(百万円)、④前年比+29.6%と二桁の増収増益。トップラインである売上高の伸びは3社の中で一番です。
画像:新日本空調「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 」
今期25年3月期は、①売上高は133,000(百万円)、②前年比3.9%、③営業利益9,300(百万円)、④前年比+0.7%と、こちらの伸び率はほか2社に劣っています。ただし、四季報春号には「データセンター向け高発熱サーバールームの排気気流対策製品を開発」とあり、今後の成長ドライバーとなることが期待されます。
画像:TradingViewより
株価チャートを見ると、3社とも2024年に入って上昇の角度を上げています。今期の予想PERは、5月28日時点の株価で、高砂熱学工業は19.6倍、ダイダンは13.3倍、新日本空調は12.7倍と、超加熱というほどではありません。受注状況や、DX化による設備投資の急増などを鑑みると、上方修正の可能性は高く、PERが切り下がることも期待できます。
生成AIブームが、単なるブームではなく今後の社会を大きく変えるとしたら、その影響を受けるセクターの裾野は広く、まだまだ関連銘柄は発掘できそうです。連想ゲームを繰り広げながら、銘柄を物色するのはまさに株式投資の醍醐味です。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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