はじめに
運用しながら取り崩すと現実的な金額になっていく
では65歳から資産を「運用しながら取り崩す」とどうなるでしょうか? 先ほどは65歳時点で8820万円もの資産を作ることをゴールにした場合でも、運用利回りの違いで積立額が変わるということをお伝えしましたが、資産を取り崩す際も運用利回りの違いで資産の持ちが変わってきます。
8820万円を65歳から毎月21万円ずつ取り崩すと運用利回りが0%であれば、100歳時点で残高0円となります。しかし運用利回り3%で取り崩すと、毎月339,000円もの資金を取り崩せることが分かります。(大和アセットマネジメント人生100年時代シミュレーションを使用)
すると今回の設定では、毎月の取り崩しは21万円で良いので、65歳時点で持つべき資産は8820万円も必要ないということも分かります。
では思い切って65歳時点の資産を5000万円、月々の取り崩しを21万円としてシミュレーションしてみましょう。すると0%の運用利回りだと19年で資産が底をつきます。84歳になると老後破綻です。
しかし3%で運用ができると資産は95歳までゼロにはなりません。4%運用であれば104歳まで資産が尽きることがないことが分かりました。
運用利回り3%~4%を目標とすると私たちの年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用実績が参考になります。基本のポートフォリオは、日本の債券に25%、日本の株式に25%、外国の債券に25%、外国の株式に25%ですから、同じように基本の4資産に均等で投資をするバランス型ファンドなどの選択も考えられます。
もし65歳時点の資産が8820万円ではなく5000万円だとなると、これからの積立額も変わってきます。仮に5%の運用を考えるのであれば、毎月の積立額は83,962円となり、7%であれば61,723万円となります。
まだまだ簡単な積立額とは言えませんが、夫婦共働きでしっかりと家計管理に取り組まれているご家庭であれば、だいぶ道筋も見えてくるかも知れません。
資産形成の計画は随時見直していくことが重要
もちろん資産の取り崩しを65歳からではなく70歳からと5年遅らすだけでも目標とする金額が変わります。取り崩しを遅らせるためには、長く働くことも必要になるでしょうから、今のうちからこれからの自分のキャリアについても考えておく必要も出てくるでしょう。
いずれにしても「机上の空論!」と言ってしまえばそれまでですが、私たちが将来に備えるとすればこのようにいくつかの仮定を元に今できる最善のことをしていくしかないのではないかと思います。
大切なことは、適時ご自身の計画を世の中の動きに合わせて見直し、軌道修正をしていくことではないでしょうか? 資産形成は長い道のりではありますが、信頼できるファイナンシャルプランナーなどに伴走してもらいながらぜひ継続していくと良いと思います。
将来のインフレ対策として、iDeCoやNISAを活用している方も少なくないでしょう。その行動は間違っていませんが、現在の運用状況がご自身の思い描く軌道に乗っているのかどうかのチェックをなさるとより良いと考えます。
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