はじめに

単独のファンドでも分散投資効果は得られる

特に、対面形式の金融機関で注意しなければならないのが、販売員から勧められるままに投資信託を買ってしまうことです。

金融機関の販売員は、アセットアロケーションのプロではありません。あくまでも販売のプロです。そのため今、金融機関の営業戦略として最も販売したい投資信託を、顧客に勧めようとします。すると何が起こるか。

「今、米国の金利が高いので、米ドル建て債券に分散投資するアクティブファンドが新規設定されます。いかがですか」と勧めた翌月、「今度は米国の債券市場に連動するインデックスファンドが登場します。いかがですか」と勧められたりします。言いなりに買っていくと、米ドル建て債券への投資比率がどんどん上がってしまいます。以前、外国債券を組み入れる毎月分配型ファンドが大人気だった時、ある個人の方が金融機関から勧められるままに投資信託を買っていたら、5本持っているファンドのすべてが外債を組み入れて運用する毎月分配型ファンドだったという話もあったくらいです。

もし、複数のファンドで分散投資効果を高めたいのであれば、自分で国別や資産クラス別の投資比率を考え、各国別、各資産クラス別に集中投資するファンドを探して、分散投資するしかありません。

しかし、それはかなりの手間がかかります。正直、あまりにややこしくて、投資すること自体が嫌になってしまうかも知れません。そのうえ、それを積立投資で行うのと同時に、1年に1度はリバランスさせるとなると、話はますますややこしくなります。

確かに、1800万円の非課税枠が設けられたことで、さまざまなファンドに分散投資してみたくなる気持ちも分かりますが、間違った投資信託の分散投資は、むしろマイナス効果でしかありません。それを考えると、世界中の株式に分散投資されているファンドを1本買っておけば、それで分散投資効果は得られるし、価格変動リスクをコントロールするならば、国際分散投資の株式型投資信託と、国内の預貯金への資金配分を調整することによって、十分にそれは叶うと思われます。

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