はじめに

足元の為替相場で、円高が進んでいます。ドル・円相場は2011年10月に1ドル=75円を付けて以来、長期の円安トレンドに転換。2024年7月1日に約1ドル=162円程度になるまで、長期間にわたって円安局面が継続しました。しかし、それ以降は米国の景気不安や日銀による利上げなどが重なり、急速に円高(ドル安)が進行しています。

ドル・円相場では、今後も日米金利差の縮小などから円高が進行するとの見方が多くなっており、株関係のコラムや株系情報サイトでは「円高関連株」が取り上げられているのをよく目にするようになりました。

ここでは「円高関連株って本当に円高で上がるの?」という視点から、過去の円高局面などを参考に、円高関連株のパフォーマンスについて考えます。


中長期的には日米金利差の縮小を背景に円高に振れやすい

ドル・円相場は、民主党政権下で1ドル=75円台を付けて以来、長期的な円安トレンドが続いています。ただ、2024年は7月3日に1ドル=162円に迫ったあたりから反転。米国の景気不安に加え、7月末には日銀が3月末に続き追加の利上げに踏み込んだことによって、円が急速に買われ(ドルが売られ)ました。9月16日には、一時1ドルが140円を割り込む水準まで円高が進んでいます。

急速に円高が進んだ要因として、積み上がってきた「円キャリートレード」の巻き戻し(反対売買)が起こったことが挙げられています。「円キャリートレード」とは、金利が低い円で資金を調達し、調達した資金を為替や株、その他の金融商品に投資する取引のこと。これまで円を売ってドルを買い、その資金が世界中の金融市場に流れ込んでいたわけです。しかし、日銀が継続的な利上げの可能性を打ち出したことで、投機勢を中心に反対売買、つまり「ドルを売って円を買い戻す」取引が相次ぎました。

この先、米国が利上げから利下げ局面に転じ、日本の利上げが継続的なものになれば、ドル・円相場は円高方向に振れやすくなるはずです。その時その時の局面を切り取れば、為替相場は必ずしも金利差によって動くとは限りません。しかし、長い目で見れば、両国の金利差を反映する動きになる可能性が高いことは確かです。今後、日米の金利差が収縮するのであれば、投資家はそうした視点を念頭に置く必要があるでしょう。

これまで、13年間にわたって円安局面が続いてきたため、株式相場では円安にとって恩恵を受ける株「円安関連」が買われやすい相場になっていました。つまり、「輸出で稼ぐ株」に投資家の注目が集まりやすい相場だったということです。しかし、今後は円高に振れやすい相場が続くとしたら、ある程度、投資戦略の見直しが求められるはず。今度は「円高メリット株」に目を向けるべき局面が到来するかもしれません。

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