はじめに
金利が上がるとどうなる? ーーその仕組みを理解する
次に、金利が上昇した場合、私たちの生活や経済、そして投資にどのような影響があるかを見ていきます。
金利が上昇すると、まず考えられる影響は借り入れコストの増加です。例えば、住宅ローンの金利が上がると、月々の返済額が増えるため、家計の負担が大きくなります。逆に、預金の金利も上がるため、銀行にお金を預けている人はその利息が増え、貯蓄が増えるというメリットもあります。
金利は経済全体にも大きな影響を与えます。金利が上がると、企業や個人はお金を借りるコストが増えるため、設備投資や消費が減少しやすくなります。これにより、経済活動が縮小する可能性があります。逆に金利が下がると、借り入れがしやすくなり、企業も個人も積極的に投資や消費を行うようになるため、経済が活発化します。
金利を操作することができるのは、中央銀行(日本では日本銀行)です。金利を操作することで、経済の景気をコントロールしようとします。例えば、景気が過熱してインフレが進んでいるときは、金利を上げて需要を抑える一方、景気が悪化しているときは金利を下げて投資や消費を促すことがあります。これを金融政策と呼びます。ちなみに日本銀行の目的は、「物価の安定」と「金融システムの安定」をはかることです。
金利と投資の関係
それでは、金利が投資にどのように影響するのかを見てみましょう。金利の動向は、特に株式市場や債券市場に大きな影響を与えます。
金利が上がると、株価に対してネガティブな影響を与えることが一般的です。その理由としてまず挙げられるのは企業の借り入れコストが増加すること。企業が事業拡大のためにお金を借りる場合、金利が上がるとそのコストが増えます。借り入れコストの増加により、企業の利益が減少するため、株価が下がることがあります。
次に金利が上がると、債券などの安全資産の利回りが良くなるため、リスクの高い株式よりも債券を選ぶ投資家が増える可能性があります。わざわざリスクを取らなくても…となるわけです。この結果、株式市場から資金が流出し、株価が下がることがあります。逆に、金利が低いときは、企業が資金調達をしやすくなるため、利益の増加が期待され、株価が上昇しやすくなります。
ちなみに安全資産と言われる債券は、固定された金利を受け取る投資商品です。金利が上昇すると、新規発行の債券の利回りが上がるため、既存の低金利の債券の価値が相対的に下がります。そのため、金利が上昇すると債券価格は下落し、逆に金利が下がると債券価格は上昇するという関係にあります。