高級レストラン「ひらまつ」がホテル運営に走る“台所事情”
ミレニアル世代が業界地図を変えた?
高級フレンチレストランチェーンのひらまつは3月11日、予定していた第三者割当増資の実施を撤回しました。前週末の金曜日に実施を発表し、週明け月曜日に撤回したわけですが、もしも実現していたら最強のタッグになった可能性があるだけに、少々残念です。17億円の増資引受を予定していたのは、「ウィーンの森」という事業再生や株式公開支援コンサルなどを手掛ける会社の代表である森正文氏。森氏は高級ホテル・旅館、レストランの予約サイト「一休.com」の創業者です。2016年1月に一休をヤフーに売却、400億円を手にすると、すべての役職から退き、その引き際の鮮やかさが話題になりました。ひらまつの本業は高級フレンチレストラン経営ですが、近年は高級ホテル経営にも進出しています。高級フレンチを堪能することを目的に、高級ホテルに泊まってもらおうというのがコンセプト。高級レストラン+高級ホテルですから、まさに森氏のテリトリーです。リリースには「協力関係の樹立や調達資金の使途など詳細な点について最終的な合意を得ることができなかった」としか書かれていません。会社側に問い合わせたところ、「これ以上詳細な理由は開示しないことで
結局お金?指針変更でわかった「監査法人交代」赤裸々な理由
18社の変更理由をリスト化
あと2週間ほどすると、12月期決算の上場会社の定時株主総会ラッシュを迎えます。上場会社は決算書を監査法人にチェックしてもらう義務を負っています。どの監査法人に監査を依頼するかの決定プロセスは会社によって異なり、会社が候補を決めて総会に諮る場合と、会社自体に決定権があって総会では報告するだけで良い場合があります。しかし、いずれにしても総会マターです。このため、監査法人の交代は、定時総会開催月の前々月の下旬から当月上旬くらいまでに公表されるのが一般的です。今年も12月期決算企業の監査法人交代の発表が1月下旬から始まっていますが、今年は例年とは少々趣きが異なっています。交代を知らせる各社のリリースに、これまでにはなかったほどしっかりと交代理由が書き込まれているのです。逆に言えば、これまではなぜ監査法人が交代するのか、その理由がちゃんと書かれてきませんでした。なぜ今年になって、こうした変化が生じているのでしょうか。
取り調べは時給8000円、「高額報酬通訳」衝撃の実態
警察・検察・裁判所に聞いてみた
昨年12月25日配信の記事で、外国人が容疑者もしくは刑事被告人になった場合に動員される「司法通訳」について取り上げました。少しおさらいをすると、これまでの報道では「負担が重い割に報酬が低いので、なり手が少なく、レベルも上がらない」とされてきました。しかし、司法通訳団体の代表は既存の報道内容を全面的に否定。「負担が重いのは能力が不足しているからで、稼ぐ人は月額90万円の報酬を得ている」とぶちまけます。そこで、実際のところはどうなっているのか、司法通訳の雇い主に直接取材を敢行。その回答から浮かび上がった、司法通訳の実態をご紹介します。
配当大盤振る舞いでも「キューピー」の株価が冴えない理由
個人投資家に人気の銘柄に何が?
年が明けて早3週間。11月決算企業の本決算公表がほぼ一巡しました。その中で目を引いたのが、1月10日に決算発表を行ったキューピーです(正式な社名は「キユーピー」ですが、本稿では一般の人にも馴染みのある「キューピー」で記載します)。今回発表した直近決算期(2018年11月期)の純利益は、2012年11月期から7期連続で過去最高を更新しました。また、すでに始まっている2019年11月期には創業100周年を迎えるため、配当性向3割で計算した金額を切り上げたうえに5円の記念配も上乗せしています。このため、記念配も含めた配当性向は35%。前期比で7円もの増配です。それなのに株価は冴えません。1年前は3,000円を超えていたのに、昨年3月下旬頃から下がり始め、年末のクリスマスショックで下げが加速し、1月18日終値は2,518円。好決算にも市場はまったく反応しませんでした。その原因は何なのか、少し深掘りしてみたいと思います。
カゴメが下した“ある決断”、個人株主にプラス?マイナス?
個人投資家に人気の銘柄に何が…
トマトジュースやケチャップでお馴染みのカゴメ。同社といえば、個人株主を重視することで有名です。自社商品の株主優待は手厚いですし、ホームページ上のファン株主向けのページも充実しています。そんなカゴメが昨年11月に公表した「コーポレートガバナンス報告書」が、投資専門家の間で関心を集めています。いったい、その理由は何なのか。そして、報告書の内容は個人投資家にとって何を意味しているのか。深掘りしてみます。
ゴーン氏逮捕で脚光、「司法通訳」の知られざる台所事情
“儲からないから人手不足”は本当?
11月19日の逮捕から1ヵ月以上が経過した、日産自動車のカルロス・ゴーン前会長。12月21日には会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕され、今も多くのメディアで関連報道が続いています。このゴーン氏の逮捕を受けて、筆者の中で素朴な疑問として沸き上がったのが「取り調べは英語でやるのか、日本語でやるのか」でした。今回の事案は、検察の中でもエリートが集まる東京地検特捜部の担当事件ですので、英語に堪能な検事が取り調べに当たり、通訳は使っていないようです。が、訪日外国人数の増加に伴い、容疑者として警察に逮捕される外国人の人数も増加の一途をたどっています。外国語に堪能な検事ばかりではないでしょうし、警察官となったら語学に堪能な人の割合はもっと下がるでしょう。冤罪を出さないため、あるいは起きた事件の真相を明らかにするため、容疑者となった外国人と、彼らを弁護する弁護士、そして捜査当局とのコミュニケーションに、通訳は欠かせない存在です。これまでほとんどその実態に世間が関心を寄せることがなかった、刑事事件に関与する司法通訳の世界。実は、さまざまな問題をはらんでいるのです。
「大幅増配」報道のファナック、それでも株価反応薄のワケ
期末の配当性向は160%?
12月11日、産業用ロボットで世界シェア首位のファナックが、大幅な増配を検討しているということを日本経済新聞が報じました。期末配当として1株当たり500円を株主に還元することを検討している、という内容です。同社はすでに、中間配当として1株当たり598円19銭を株主に還元しています。配当性向(=1株当たり配当÷1株当たり純利益)は実に141.9%という驚異的な高さです。前中間期の配当性向は60%で、それ自体もかなりの高水準でしたが、今期はその倍以上でした。ファナックの通期での1株当たり純利益予想は、現時点で734円13銭。上期が421円45銭でしたから、下期は312円68銭。そこへ500円出すとすれば、下期の配当性向は160%になります。会社側は報道当日の10時55分、この報道に対するコメントを出しましたが、その中身は「当社が発表したものではありません」「期末配当は現時点では決まっていません」というもの。つまり、積極的に否定をしていないのです。一方で、配当に関する報道が出ると、通常であれば会社がよほど強く否定しない限り、株式市場は報道を信じて反応するものですが、今回は反応していません。な
ネットで話題の「0円タクシー」が運賃以外も衝撃的なワケ
業界の収益構造を変える?
先日、東京・六本木を歩いていると、不思議なタクシーとすれ違いました。屋根の上の行灯がある位置に付いていたのは、即席カップそば「どん兵衛」のパッケージを模したもの。珍しい外観に、思わず目が釘付けになってしまいました。実はこのタクシー、あのDeNAが12月5日に運航を始めた「0円タクシー」です。いったい、どんなカラクリで運賃ゼロ円を実現させたのでしょうか。
住宅購入時にこそ気を付けたい“水増し融資”の黒い実態
JR九州子会社でも発覚
このところの経済ニュースは日産自動車のカルロス・ゴーン前会長に関する報道ばかりが目立ちますが、11月30日、かねてから世間を賑わせている“水増し融資”に関する2つのニュースが伝えられました。1つは、シェアハウス向けの不正融資が発覚し、金融庁から一部業務の停止処分を受けたスルガ銀行。同行はこの日、117人の行員を懲戒処分にしたことを公表しました。もう1つが、JR九州が第三者委員会から受領した報告書を公開したというものです。鉄道会社がなぜ、水増し融資で第三者委員会から指摘を受けることになったのでしょうか。その経緯をひも解いてみます。
上場が相次ぐ「印刷通販業」、投資妙味はどのくらい?
ラクスルに続いて、もう1社が上場
9月18日配信記事で取り上げた、印刷通販業のラクスル。同社が上場したのは今年の5月31日でした。そして10月18日には、同じく印刷通販業を営むプリントネットという会社が新規上場しました。ここに来て上場が相次いでいる、この「印刷通販」という業態。紙媒体の需要が減っていることを受け、印刷業界全体では市場が縮小傾向にありますが、こと印刷通販に限っていえば、2012年から2018年までの6年間の平均では、年10%超の成長率だそうです。成熟産業で異色の成長業態を展開するラクスルとプリントネットを、もう少しくわしく分析してみたいと思います。
投資のプロが選ぶ“優良IR企業”とは、どんな会社なのか
個人投資家の判断材料にも使える?
投資家が株式投資をするうえで大きな判断材料となっているIR資料。しかし、約3,700社ある上場企業の中でも、その内容は玉石混交で、上場企業として最低限の情報開示しかしていない企業も数多く存在します。こうした状況を変えようと、日本証券アナリスト協会のディスクロージャー研究会が毎年10月に選定・表彰しているのが「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業」です。1995年から開始しており、今年で24回目になります。プロの目から見た優良IR企業の開示姿勢は、個人投資家にとっても今後の投資判断の参考になるはず。いったい、どんな会社が高い評価を受けているのでしょうか。
新型iPhoneの審査に落ちる人が続出してしまう根本理由
料金滞納が理由ではない?
毎年ほぼ恒例となっている、9月のiPhone新機種の発売。今年も9月21日にiPhone XSが発売されましたが、例年とは別の側面が話題となりました。今年は、分割払いの審査が通らず、買えない人が出ているということがインターネット上で話題になったのです。なぜ、今年に限ってそんなことが起きているのでしょうか。
駅前中華「日高屋」、16年連続増益に黄信号が灯るワケ
上半期は7年ぶりの営業減益
10月2日、勝ち組外食の一角で、中華料理店チェーン「日高屋」を経営するハイデイ日高が、9月28日に開示した2019年2月期第2四半期(3~8月期)の決算説明会を開催しました。実績は売上高が211億円、営業利益が25.6億円、当期純利益が17.1億円。前年同期比では売上高こそ4.2%増でしたが、営業利益は3.4%減。上期としての営業減益は7年ぶりです。当初の会社計画比では、売上高が1.4%未達、営業利益が7.2%未達、当期純利益が4.9%未達でした。期初計画を保守的に見積もる上場会社が少なくない中、この会社は本音に近い数字を出してきますので、そもそもの計画値が高いという側面はあります。ですが、上期だけとはいえ、7年ぶりの営業減益とは穏やかではありません。なぜこのような結果になったのでしょうか。
株価が年初から4割下落、「鳥貴族」を覆う不安の正体
“外食の勝ち組”に何が?
焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」の株価が低迷しています。1月9日に高値3,910円をつけましたが、足元では9月21日終値ベースで2,250円と、4割強も下がっているのです。鳥貴族といえば、外食業界の“勝ち組”といわれてきました。2014年7月期には売上高が146億円、本業の儲けを示す営業利益が6.9億円でしたが、直近の2018年7月期にはそれぞれ339億円、16.8億円と、5年間で2倍以上に拡大しています。にもかかわらず、株価はこの9ヵ月間で4割強も下落。なぜ市場の評価はこんなに厳しいのでしょうか。その理由を分析してみたいと思います。
不況の印刷業界で異例の評価、「ラクスル」の投資妙味
株価は公募価格の1.8倍に
先週で7月決算企業の決算発表がおおむね出そろいました。その中に面白い会社を見つけました。印刷会社とユーザーを仲立ちするプラットフォームの運営会社・ラクスルです。今年5月31日に東証マザーズに上場したばかりの会社で、社名の由来は「楽に刷る」と中小企業のビジネスを「楽にする」だとか。2009年の創業から10年目での上場となったわけですが、実はこの会社、上場前から将来有望なベンチャーとして数々の受賞歴を持っています。代表の松本恭攝(やすかね)氏は、昨年11月にフォーブスジャパンの日本の起業家ランキング2018で1位を獲得しています。構造不況業種の代表格といってよい印刷業界にあって、なぜこれほどの高い評価を受けているのでしょうか。そのビジネスモデルをひも解いてみましょう。
作業服の「ワークマン」がカジュアル専門店を出した裏事情
高成長の秘密に迫る
作業着などの販売で知られる「ワークマン」が9月5日、新業態をオープンさせました。カジュアルウエア専門店「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」です。場所は、ららぽーと立川立飛。立川駅から多摩モノレールで2駅、立飛駅直結のオシャレなショッピングモールです。それにしても、一般向けのアパレル市場は言わずと知れた大激戦区。そこへあえて参入した、ワークマンの勝算を探ってみます。
「いきなり!ステーキ」、業績好調でも株価低調のナゾ
株価は昨年10月の半値以下
ステーキ店チェーン「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスの業績が好調です。「いきなり!」で立ち食い業態に参入した2013年当時、売上高は56億円、本業の儲けを示す営業利益が2億円程度だった同社。それが今期は売上高629億円、営業利益40億円を目標に掲げています。7月30日に発表した第2四半期(1~6月期)の実績も、売上高、営業利益ともに期初目標を上回っています。ところが、株式市場からの評価を表している株価の動きが冴えません。昨年10月に一時8,230円の高値を付けましたが、今年8月31日は3,820円と半分以下にまで落ち込んでいるのです。同社に何が起きているのでしょうか。8月29日に開催された第2四半期決算説明会の資料から、ペッパーフードの現状を読み解いてみます。
ニトリと大塚家具の明暗を分けた、住宅事情の“変化”
IKEAも苦戦する日本市場の現状
このところ、大塚家具の株価が低迷しています。7月27日終値362円ベースのPER(株価収益率)は4.9倍、PBR(株価純資産倍率)は0.41倍という低水準です。同業のニトリホールディングス(HD)はそれぞれ27.99倍、4.17倍ですから、大きな開きがあります。この違いはまさに業績の差であり、ニトリは右肩上がり、大塚家具は2期連続で赤字。同じ家具店なのに、両社の間にはいったいどんな違いがあるのか、ひも解いてみます。