TBS、株主提案否決でも「これにて一件落着」でない理由
賛成票は11%止まりだったが…
1ヵ月ほど前、「『放送は副業』呼ばわり、TBSが直面する株主総会の難題」という記事で、TBSホールディングスの株式2%を保有する英国籍のファンド、アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)から、TBSが株主提案を受けていることを取り上げました。その株主総会が6月28日に開催されました。結果はどうだったかというと、賛成票はわずか11%で、AVIの提案はあっさりと否決されました。株主総会までの間に、両者でどのような攻防が繰り広げられたのか。そして今回の一件は、今後のTBSの経営にどのような影響を及ぼしそうなのか、考えてみたいと思います。
トップは27億円、「高額役員報酬」最新ランキング
外国人が目立つ中、奮闘したのは?
他人の収入を知りたい。でも、知ったら知ったで嫉妬したり、優越感を持ったりする――。そんな人間の“性(さが)”をくすぐるような調査を、大手信用調査機関の東京商工リサーチが毎年この時期に実施しています。題して「役員報酬1億円以上開示企業調査」です。今年は、どの企業のどんな役員がどれくらいの報酬を受け取ったのでしょうか。
カフェの顧客満足度で「ベローチェ」がトップに輝いた理由
スタバやコメダを圧倒
顧客満足度のカフェ部門トップはカフェ・ベローチェ。2位がドトールコーヒー、3位がコメダ珈琲店――。日本生産性本部・サービス産業生産性協議会が6月27日に公表した顧客満足度指数(JCSI)ランキングの速報結果です。顧客満足度が高そうなカフェというと、何となくスターバックスやコメダを想像しがちですが、過去9回の調査でスタバがトップになったのは2014年の1回だけ。2015年が3位、それ以外の年はすべて4位以下です。コメダもトップは2013年の1回のみ。2017年、2018年が3位で、それ以外の年は4位以下です。これに対し、ベローチェは今回も含めてトップが4回、2位が4回、4位が1回。ドトールは今年こそ2位でしたが、2015年から2017年まで3年連続トップです。調査結果を細かく見ていくと、一般的なイメージだけでは量れない、消費者のシビアな視線が浮かび上がります。
出版不況なのに高成長、「鎌倉新書」ってどんな会社?
本業の儲けは2ケタの伸び
3月期決算企業の株主総会がピークを迎える中、1月期決算企業の第1四半期(2~4月期)決算の発表がほぼ出そろいました。その中に、気になる会社がありました。「鎌倉新書」という会社です。年商わずか17億円ですが、売上高、営業利益ともに2ケタ成長を続けています。出版不況の最中に、なぜ出版社が高成長を遂げているのでしょうか。
ハマスタが財布いらずに?「ベイスターズコイン」の衝撃
球場にもキャッシュレスの波
プロ野球の横浜DeNAベイスターズが、スポーツ関連の事業を営むベンチャー企業の育成支援を始めました。題して「ベイスターズ スポーツ アクセラレーター」です。その第1号の事業者として選ばれたのが、ギフティ(東京都品川区、太田睦代表)。オンラインでギフトを送るサービスや、景品や謝礼などをLINEやメールで送れるデジタルチケットサービスなどの技術を提供している会社です。いったいなぜ同社が選ばれたのか。そして、ベンチャー支援を通して、何を狙っているのか。ベイスターズの戦略を深掘りしました。
「放送は副業」呼ばわり、TBSが直面する株主総会の難題
大株主が保有株の現物配当を要求
6月は3月期決算企業の株主総会が開催される月です。以前に比べれば開催日は分散傾向にあるとはいえ、それでも最終週は多数の会社の総会が集中しています。その中で世間の耳目を集めているのが、6月28日に株主総会を開催する、民放大手のTBSホールディングスです。実は同社、英国籍のファンド、アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)から株主提案を受けているのです。TBSは一体どんな要求を突き付けられているのでしょうか。そして、なぜ今回のような事態が起きたのでしょうか。
日大アメフト問題に見る、「危機管理広報」失敗の本質
“他山の石”とするには?
連日、日本大学アメリカンフットボール部の問題がテレビで報道されています。世間一般のとらえ方としては、直接の加害者である宮川泰介選手の会見が賞賛を集めたのに対し、前監督・前コーチや大学側の対応は不誠実そのもの、といったところでしょうか。7万人以上の在校生がいる日本一のマンモス大学が、大学組織が危機に瀕した際の対処の方法をまるでわかっていなかったことを露呈してしまいました。日大には「危機管理学部」という学部がある、ということも何とも皮肉な話です。日大はどう行動すべきだったのか。企業に危機管理広報のアドバイスをしているコンサルタントの話を基に考えてみます。
素人でもデキる「トンデモ弁護士」見極め“マル秘テク”
これを見れば“懲戒歴”が丸裸
51歳の元弁護士の男性が4月下旬、警視庁に逮捕されました。容疑は業務上横領です。昨年10月に弁護士資格を失っているので「元弁護士」ですが、弁護士をしていた時に依頼人に渡すべき5,320万円を着服した、というのが逮捕容疑です。本人も認めているそうで、これ以外にも同様の余罪があるらしいと報道されています。ごく普通に生活していて弁護士が必要になることなど、一般市民にはほとんどないと思いがちです。しかし、親が死んで相続が発生したけれど、兄弟・親族間で争いが起きてしまった、親が認知症にかかり成年後見人が必要になった、といったことは誰にでも起きうることです。お隣さんとの不動産トラブルも珍しいことではありません。とはいえ、有能かつ誠実な弁護士にたどり着くのは本当に大変で、これといった処方箋がないというのが現実でもあります。それでも、最低限度のリスクヘッジは可能です。一体どうすればいいのでしょうか。
8年連続増益へ、「大和ハウス」の多角経営がスゴいワケ
何が他の多角化企業と違う?
読者の皆さんは「ダイワハウス」にどんなイメージをお持ちでしょうか。女優の上野樹里さんを起用したテレビCMはかなりのインパクトですから、賃貸仲介の会社というイメージでしょうか。タレントのリリー・フランキーさんと女優の深津絵里さんのCMは一戸建て住宅なので、ハウスメーカーのイメージでしょうか。ダイワハウスの正式社名は大和ハウス工業です。社名に「ハウス」と入っている通り、ハウスメーカー、それも大手の一角ではあるのですが、実際には実にいろいろなことをやっている会社なのです。そんな同社が5月10日、2018年3月期決算を発表します。過去9ヵ月累計の進捗は年間計画を上回る伸びを示しており、従来予想を超過した着地も見込めそうです。日本企業の事業多角化というと失敗例が多いという印象ですが、なぜ大和ハウスはうまくいっているのでしょうか。その秘密に迫ってみます。
鉄道各社が「タモリ倶楽部」にこぞって協力する理由
4月20日は京急が全面協力
テレビ朝日で毎週金曜日の深夜24時20分から放送している「タモリ倶楽部」。放送開始が1982年10月ですから、今年の10月で満36歳という長寿番組です。タレントのタモリさんにゲスト数名を加えた顔ぶれで、毎回異なるテーマについて、あーだこーだと語り合うのですが、取り上げるテーマは極めてマニアックで、取り上げ方もオタク目線。半端じゃない掘り下げ方をします。先週は毎号の付録を組み立てていく雑誌『デアゴスティーニ』の編集担当者をゲストが囲み、付録の作品が完成しないまま、途中で廃刊になったものを紹介しました。その前の週は、地盤アプリを開発し、1ヵ月に4,000件もの地盤調査をしている会社に全面協力してもらい、災害リスクが小さい土地を探す企画でした。そして放送が終わったばかりの4月20日放送分は、創立120周年を迎えた京浜急行電鉄の全面協力の下、業務専用駅の新品川駅から特別車両を仕立てて走ってもらうという企画でした。タモリ倶楽部からお声がかかると、全面協力体制をとってくれる鉄道会社は京急だけではありません。それどころか、取り上げてほしくて、JRも私鉄各社も一生懸命、営業をかけているのです。何がそこ
内部を電車が往来?「西武」新ビルがもたらす池袋の変貌
「びっくりガード」近隣で再開発
西口に東武百貨店と東武電車の乗り場。東口に西武百貨店と西武電車の乗り場。方角と代表的な施設が東西で逆転していることで知られるのが、池袋駅です。その池袋駅から徒歩で数分の場所に、西武鉄道グループが新しいビルを建設しています。場所は駅の東側と西側を結ぶ、通称「びっくりガード」のすぐ近く。西武池袋線の南口から道路1本を隔てた場所です。西武鉄道が所沢の本社とは別に、本店として使っていた古いビルを建て替えているもので、2015年7月に着工。2年9ヵ月を経て、4月9日に上棟式が行われました。完成予定は来年3月です。このビルが完成すれば、周辺地域や池袋の街はどのように変化していくのでしょうか。新ビルの開発計画をひも解くことで、都心北西部を代表するターミナルの未来を占ってみます。
ニトリと大塚家具、財務データに映る明暗の根本原因
どうして状況はこんなに対照的?
4月4日、ニトリホールディングスの株価が一時、1万9,490円を付ける場面がありました。この価格は年初来高値であるだけでなく、上場来最高値でもあります。3月27日発表の2018年2月期決算の好調ぶりを受けてのことでしょう。ニトリは2018年2月期が創業50周年にあたり、その記念すべき年に31期連続での増収増益も達成しました。一方、同じ家具の小売りでありながら、対照的な状況に陥っているのが大塚家具。前期比で減収になるのは3期連続、営業赤字は2期連続です。いったい何が両社の明暗を分けたのでしょうか。財務データをひも解くことで、その根本原因を探ってみます。
ディズニーとアマゾンが苦戦、「顧客満足度」最新調査
トップは2年連続で“あの歌劇団”
顧客満足度が高い企業といえば、どの企業を思い浮かべるでしょうか。有名どころでは、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを含む東京ディズニーリゾート(TDR)などが、よく知られていると思います。しかし、日本生産性本部のサービス産業生産性協議会が3月28日に発表した「日本版顧客満足度指数(JSCI)」の最新年間ランキングでは、TDRは何と36位。その上には35もの企業・ブランドがラインクインしていました。一体どんなところの顧客満足度が高かったのでしょうか。JSCIの最新ランキングを読み解いてみます。
薬局なのに24時間営業、「ウエルシア」逆張り戦略の勝算
サンドイッチや総菜も販売
人手不足が深刻化する中で、24時間営業をやめる飲食店が増えています。しかし、その逆を行っているのが、ドラッグストア国内最大手のウエルシア薬局です。もともと基本は午前0時閉店で、今も大半の店舗がそうなのですが、2015年4月に策定した中期計画で既存店の一部を24時間化することを表明。ウエルシアの店舗数は昨年11月末時点で1,534、シミズ薬局などグループの薬局も含めると1,662ありますが、このうち121店舗が24時間営業です。24時間店舗は普通の店舗とどう違うのか。そして、時流に逆行して24時間化を進める理由とは何なのか。ウエルシアの戦略をひも解いてみましょう。
利益7割増、「SKIYAKI」が“社名以外も”面白い理由
いったい何をしている会社?
先週で、1月期決算企業の決算発表がおおむね出そろいました。その中に、面白そうな会社を見つけました。昨年10月に東証マザーズに上場したばかりの「SKIYAKI(スキヤキ)」という名前の会社です。面白いのは社名だけではありません。3月15日に発表した2018年1月期の決算は、売上高が前期比44.5%増、本業の儲けを示す営業利益は同69.6%増と、高い伸びを示しました。当初の会社予想と比べても、売上高で10.9%、営業利益で14.1%上回って着地しています。今期(2019年1月期)の業績予想は、売上高が前期比23.6%増の30億円、営業利益も同23.7%増の3億円ですが、会社側は保守的に見積もった数値だと言っています。いったいなぜ同社が高い収益の伸びを見せているのか。ビジネスモデルをひも解いてみましょう。
ソフトバンク球団が「フード無料」を試した歴史的事情
オープン戦は新サービスの見本市?
プロ野球のオープン戦シーズン真っ只中です。オープン戦は、3月30日から始まる公式戦の前に約1ヵ月間にわたって開催される、選手が試運転をするための練習試合的な位置づけです。対戦カードは同じリーグ同士もあれば、セ・リーグ球団とパ・リーグ球団という組み合わせもあります。多くのチームが2月に1ヵ月間の春季キャンプを九州や沖縄で行いますので、キャンプ地からスタートし、徐々に北上しながらオープン戦を戦い、最終的にホーム球場に戻ってくるというチームもあります。あくまで調整が目的ですから、のんびりやっているように見えなくもありません。1軍に上がれるかどうかの瀬戸際にいる選手は必死なので一生懸命ですが、レギュラークラスの選手はここで無理をしてケガでもしたら開幕に間に合いません。「調整」的なのは選手だけではありません。この時期は球団側も今シーズン考えている顧客サービスのテスト期間として、さまざまなことにチャレンジします。各球団の取り組みにはどんなものがあり、どのような事情が秘められているのでしょうか。
「広島カープ」のチケット争奪戦が激しすぎる根本事情
2月から“テント村”が出現
2月に入ってプロ野球各球団の春季キャンプが一斉に始まりました。普段プロ野球を見ない方も、テレビのニュースなどでキャンプ風景が取り上げられていることはご存じでしょう。公式戦の開幕は3月末ですが、3月に入ると公式戦に向けた練習試合的な位置づけのオープン戦が始まります。そのオープン戦のチケットが売り出されるのが今の時期です。ほとんどのプロ野球のチケットは、開催月の前の月の初旬に発売になります。つまり、3月初旬になると、4月1ヵ月分のチケットが発売になるのです。しかし、これとは別の発売ルールになっている球団が2つだけあります。阪神タイガースと広島東洋カープです。どちらも1年分をシーズン開幕前に一挙に売り出します。したがって、他の球団では9月後半のゲームのチケットは8月初旬にならないと買えませんが、タイガースやカープのゲームはシーズン初めに買えてしまうのです。こうした事情が、広島で思わぬ問題を引き起こしています。
お気に入りの商品は何位? データで見る「チョコ市場」最前線
業態や時期によって情勢は一変
来週2月14日はバレンタインデー。どの百貨店も高級チョコレートの特設売り場を設けるなど、バレンタイン商戦たけなわです。最近は、本命の人に渡すものだけでなく、自分へのご褒美チョコも百貨店や専門店で買う人が増えたように思いますが、実はこの時期、スーパーやドラッグストアでも通常の時期とは異なる動きが見られます。なぜこうした現象が起きているのでしょうか。流通データを基にひも解いてみます。