デルタ株が深刻なインドネシアで感染者減少の兆し、今後の経済活動に課題は?見通しを解説
カギは感染再拡大のリスクと米テーパリング
感染力の強いデルタ株が猛威を振るい、アジアにおけるコロナ禍の中心地となっていたインドネシアで、ようやく沈静化の兆しが見えてきました。10月に入り、新規感染者数は1,000人を下回る日もあるなど、7月のピーク時の5万4,000人超から大幅に減少しています。ポストコロナを見据える上で、インドネシアの足元の状況と今後の課題について整理したいと思います。
次期政権の難題か…気候変動対応で動き出したEUタクソノミーって何?
「サステナビリティ」のルールメイキング
9月29日に投開票が行われた自民党総裁選で、岸田文雄氏が勝利しました。10月4日の衆参両院での首相指名選挙を受けて、第100代内閣総理大臣に就任します。衆院議員の任期満了後の11月には次期衆院選が行われ、その後の国政を担う新政権が発足する見通しです。サステナビリティへの政策対応の視点から菅政権を振り返ると、グリーン成長戦略の策定をはじめ、約1年間で日本の気候変動対応を大きく推し進めた政権であったと評価することができるでしょう。一方、総選挙後に発足する新たな政権では、気候変動以外のサステナビリティを巡る課題についても、より踏み込んだ対応が求められていく可能性があります。実際に気候変動対応で他国に先行するEU(欧州連合)は、気候変動以外の環境・社会課題の解決に向けた取り組みを既に加速させています。今回はこうしたEUの取り組みの中でも、特に注目される動きの一つである「EUタクソノミー」についてご紹介します。
女性管理職比率が高い企業はなぜ評価できるのか、投資パフォーマンスで比較
SDGs17項目のうちジェンダー平等に注目
近年、自然環境の保全(Environmental Conservation)、上場企業の社会的責任(Social Responsibility)、健全な企業統治(Corporate Governance)を切り口として、企業活動の適正化に着目する、ESG投資への関心が高まっています。また、国際連合が提示している17項目の「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が、ESGを意識した企業活動等により実現が期待される目標、と捉えられるようになりました。今回は、SDGsのうち、ジェンダー平等に関連して、企業における管理職のうち、女性がどれだけいるかを示す、女性管理職比率に注目したいと思います。
コロナ後には労働力不足が深刻に、多様化する働き方対応で躍進が期待できる銘柄は?
労働者の売り手市場が再び到来
新型コロナウイルス感染症によって、世界各国で急激に失業者が増加しました。その後、ワクチン接種が進み、経済活動が再開されるにつれて失業率が改善しています。アメリカやイギリスでは労働市場がひっ迫し、賃金上昇が発生している状況です。日本でも同じことが起こるかを確認するために、総務省統計局が発表している労働力調査を調べました。
米国テーパリングは年内開始へ、新興国通貨は金融引き締めを乗り越えられるのか
2022年以降の為替市場を展望
今年の為替市場における最大のテーマは米連邦準備制度理事会(FRB)のテーパリング(資産購入の段階的な縮小)のタイミングでしたが、概ね決着がついたと言えそうです。パウエル議長をはじめ多くのFRB関係者が年内開始を支持する発言をしており、市場からそれに異を唱える声はあまり聞かれません。おそらくは、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングが決定され、12月から開始というスケジュールが有力でしょう。ここでは、FRBのテーパリング後の為替市場、とりわけ新興国通貨の値動きを展望してみたいと思います。
日経平均急騰後の行方を占う政治イベント、自民党総裁候補3氏の政策も比較!
自民党総裁選挙、G20、衆議院議員選挙
8月下旬まで世界の株価指数と比較して出遅れ感のあった日経平均株価でしたが、9月に入り一転して急騰しています。9月14日までの10営業日のうち、9月9日以外の実に9営業日で上昇し、上げ幅は2,500円を超えています。相場転換のきっかけは菅首相の自民党総裁選の不出馬表明でした。秋に向けて動き出した国内政治は今後も相場に影響を与えるのでしょうか。大きな政治イベントを中心に、事前に予習していきましょう。
日経平均株価3万円は通過点、米金融正常化が日本株のさらなる追い風になると読むワケ
政局の好転、新型コロナの感染減少、株価のもどりは必然か
昨年9月から11ヵ月連続で月末(月の最終営業日)の株安を記録していた日本株は、今年8月に1年ぶりに月末株高を記録しました。前日まで27,000円台で推移していた日経平均株価はおよそ3週間ぶりに28,000円台を回復。その後、28,000円台にはわずか3日間滞在しただけで、週末の9月3日には29,000円台に到達しました。そして、翌週の9月7日には、4月上旬以来となる30,000円を一時回復し、およそ5ヵ月にわたった調整を、わずか1週間余りで埋めるほどの急展開を見せました。さらに14日には終値3万670円と、31年ぶりに高値を更新しました。1年ぶりの月末株高がこのような展開を暗示していたかのようにも見えますが、直接的な原動力は、菅政権の退陣に伴う、新しい首相の下での新たな政治への国内外の期待と捉えることができます。
デジタル庁創設で私たちの生活が変わる?民間需要の拡大が見込める3つの政策を解説
10月10~11日は「2021年デジタルの日」
昨年、新型コロナウイルス感染者数報告の一部でFAXが使われていたことが判明し、日本のデジタル化の遅れが顕在化しました。一方で、テレワークの推進、動画コンテンツの拡充、ビッグデータの活用など、この1年でデータの多様化・大容量化が進んでいます。日本のデジタル化対応は喫緊の課題として、デジタル社会の司令塔を担うデジタル庁が9月1日に創設されました。また、10月10日・11日を「2021年デジタルの日」と定め、官民で連携してデジタル関連の技術・サービスを利用した祝祭が実施される予定となっています。<写真:デジタル庁所在地の東京ガーデンテラス紀尾井町/PIXTA>
宿泊・飲食産業はもうもたない…内部留保はほぼ枯渇、財務面から見る業界の深刻度
終わりの見えない自粛が日本の文化を蝕む
新型コロナウイルスの日本の新規感染者、重症者はこのところ減少傾向にあります。一方、9月12日に期限を迎える緊急事態宣言は感染者数の「高止まり」を理由に9月30日まで延長される見込みです。2021年は緊急事態宣言のみならず、まん延防止等重点措置のもとで営業時間短縮に加え酒類提供も過料の罰則付きで命令されており、特に東京都では緊急事態宣言とまん延防止等重点措置のいずれも発出されていなかった期間は年初と3月から4月にかけてのわずか3週間ほどとなっています。経済再開に積極的な姿勢を示していた菅首相は自民党総裁選の立候補を見送っており、次期首相の方針によっては緊急事態宣言のさらなる延長や冬場にかけての再発出の可能性も十分想定されます。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
米8月雇用統計が弱い結果でも、米テーパリング年内開始見通しに変更なしと読む理由
バランスとれた米FRBパウエル議長発言
9月3日(金)に発表された米8月雇用統計は、事業所調査ベースによる非農業部門雇用者数(以下 NFP)が前月比23万5千人増と、事前予想中心値の73万3千人増に比べてかなり弱い内容となりました。前月・前々月分は併せて13万4千人上方修正されましたが、この上方修正を含めても、かなり弱い内容です。ただ、米8月失業率は前月の5.4%から、市場予想通りの5.2%まで低下しており、一概に弱いとは言えないと思われます。
日経平均株価3万円回復!株価を上昇させた3つの要因と今後の見通しを解説
今後を占う2つの人事とは
あれよあれよという間に日経平均株価が3万円を回復しました。ついこの間一時2万7,000円を割り込んだ場面がありましたから、急速な上昇に驚かれている方も多いのではないでしょうか。なぜこのように急速に日本株は上昇したのでしょうか?筆者は3つの要因があると考えています。
日本株の転機は近い?過去の値動きパターンから反転時期を読む
9月に向け重要日柄が集中
新型コロナウイルス感染の拡大に歯止めが掛からないなか、トヨタの9月大幅減産の方針が伝わるなど、頼みの企業業績にも不透明感が浮上しています。海外でもコロナ禍からの経済正常化で先行した欧米や中国などで景気スローダウン懸念が意識される場面が増え、「世界の景気敏感株」とされる日本株への逆風も止みません。一方で、好調な企業業績を背景とした割安感は一段と際立つ状況にあり、日経平均ベースの予想PER(株価収益率)は12倍台、PBR(純資産倍率)も1.1倍台とかなりの悪材料を先行して織り込んだとも見られる水準に低下しています。きっかけ次第で大幅な水準訂正になる可能性も小さくないと考えます。今後9月に向けては、そうした転換を促すかもしれないいくつかの重要日柄が集中します。日経平均株価3万円超えの2月高値から約半年を経過し、株式需給の面でも信用期日絡みのポジション整理が一巡しつつあります。9月後半には自民党総裁選が行われる見通しで、その後の総選挙を見据えた経済対策への期待も高まりやすい時期に当たります。
中国は世界経済をけん引できなくなる?原因となる3つの変調を読み解く
7月の主要経済統計はいずれも市場予想から下振れ
新型コロナウイルスの感染再拡大と行動制限強化、製造業活動の減速など、足元では中国経済の変調が浮き彫りになっています。こうした変調の要因を紐解き、中国景気の先行きを考えます。
年内のドル円は108~110円台のレンジ相場か、米金融政策の行方と為替相場の展望
市場のテーマはFRBのテーパリング完了時期へ
いよいよ米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和縮小のタイミングが近づいてきたと思われます。デルタ変異株の感染拡大といった不透明要因もありますが、この先のFRBの金融政策とドル円の値動きを展望してみたいと思います。
世界の株式市場は「K字型」に、出遅れ日本株の回復ヒントはインドにあり?
日本株にもいずれ経済再開相場が訪れる見通し
足元では、新型コロナウイルスのデルタ型による感染の拡大が世界中で猛威を振るっています。一日あたりの感染者数が過去最多を更新する日本はもちろんのこと、一時期は一定レベルまで感染が落ち着いた欧米諸国でも感染者数が再び増加に転じているケースが散見され、経済・金融市場への影響に予断を許さない状況が続いています。とはいえ、実際の株式相場を見ると、コロナショックが起きた2020年3月当時とは随分と異なっていることが分かります。つまり、グローバルの株式相場が必ずしも総悲観に陥っているわけではなく、株価のパフォーマンスに明暗が分かれているということです。
米FRBテーパリング決定は年内か、今後の米金利と日米株価の動きを徹底予想!
米国株の健全な上昇が続くこと自体は、日本株にもポジティブ
一般に、米国の市場金利の動向と、日米株価の相対的な値動きには一定の関係があることで知られています。それは米国の市場金利が上昇する際に、米国株(S&P500)よりも日本株(TOPIX)の方が上がりやすいという特徴です。また、米国での金利上昇には、景気回復期待の高まりを伴うことが多く、景気に敏感な銘柄が物色される傾向があります。株式市場を構成する銘柄の特徴として、日本株には景気敏感株が多く含まれており、米金利が上昇し、景気敏感株が買われる局面では、日本株が米国株に対して相対的にアウトパフォームしやすいと考えられます。FRB(米連邦準備理事会)は18日、7月のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨を公開しました。市場ではテーパリング(金融緩和の縮小)の開始時期にさらなる注目が集まっています。今後の米国の市場金利は上昇へと向かうのでしょうか。
東京五輪が日本の景況感下支え?選手の活躍が消費・投資行動に及ぼした影響を読む
期間中の日経平均株価は上昇
東京オリンピック2020開会式の関東地区の世帯平均視聴率は56.4%で、1964年東京大会の61.2%に次ぐ高い数字となりました。なお、閉会式の視聴率は46.7%とこちらも高い視聴率で、国民の関心の高さが窺える数字になりました。この大会では視聴率が30%台になった競技が3つありました。まず、8/3(火)の男子サッカー準決勝・スペイン戦です。日本テレビで放送され視聴率は30.8%でした。日本が公式競技となって初の金メダルを獲得した8/7(土)野球決勝のアメリカ戦はNHKが放送し、前半は30.4%、後半は37.0%でした。8/8(日)の大会最終日に行われた男子マラソンはNHKが放送し、前半は23.3%でしたが後半上昇し31.4%になりました。新型コロナウイルスの影響で1年間延期された東京オリンピック2020大会は、様々な困難がある中での開催となりました。厳しい環境の中で準備を進めてきたアスリートの活躍に勇気づけられた人も多かったことでしょう。新型コロナウイルスが収束する兆しが見えない厳しい状況下でも、人々の消費行動や、投資行動にもプラスの影響を及ぼすと思われます。
デルタ型の猛威で中国「ゼロコロナ戦略」に暗雲、日本株に及ぶ中国リスクとは
日本株への逆風続く
新型コロナウイルスのデルタ型の感染が世界的に広がっています。ワクチン接種で先行する米国や英国では、感染者数は増加しているものの死者数の増加ペースが抑制されていることから、行動制限を緩める動きが続いています。ワクチン接種数が1億回を超え、接種完了率が40%に近づきつつある日本でも、感染の拡大と比較して死者の増加は抑えられています。一方、ワクチン接種が遅れているその他のアジア諸国では感染、死者ともに増加傾向が続いています。これまでアジアでは感染者、死者ともに欧米対比で低い状況が続いていました。しかし今局面では、直近で世界の新規感染者のおよそ2割、死者の3割ほどをアジアが占めるに至っています。こうした中、フィリピンではこれまでで最も厳格なロックダウンが実施されている他、マレーシアやタイなどでもロックダウンが強化されています。コロナの封じ込めを目指してきたオーストラリアでもロックダウンが繰り返されていますが、政権の方針は徐々にワクチン接種の加速へと転換されてきています。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>