日本も他人事じゃない「米FRB議長人事」の影響度
タカ派かハト派かでこんなにも違う
おととい投開票が行われた衆議院議員選挙は、与党の圧勝に終わりました。これから11月1日の特別国会召集までの間、閣僚人事に関するさまざまな情報が飛び交いそうですが、世界に視野を広げれば、それ以上に注目を集めている人事があります。米国のFRB(連邦準備制度理事会)の新議長人事です。FRBはアメリカの中央銀行としての役割を担っており、その議長は、日本でいえば日本銀行の黒田東彦総裁にあたります。実は、FRBの新議長人事は日本の経済や金融にとっても“対岸の火事”ではなく、むしろ日銀の総裁人事と同じくらい、もしかするとそれ以上に影響の大きい、注目すべきニュースなのです。その理由と新議長人事の行方について考えてみましょう。
定期預金よりも“個人向け国債”を選んだほうがいい理由
手間をかけず、安全に資産を増やす
銀行に預金しても金利はほとんどつきません。生活資金は銀行の普通預金に預けておけばよいでしょうが、資産を増やしたいときには銀行の定期預金はあまり役に立ちません……。そこで、個人向け国債について検討してみましょう。
英国経済が工業中心になったことはない、では産業革命とは?
簿記の歴史物語 第14回
18世紀末~19世紀に産業革命が起き、多大な資本を必要とする企業が生まれ、それら株式会社を監視するために現代的な会計制度が整備されていった――。これが当連載の大前提です。今までの連載では、17世紀初頭の「株式会社の誕生」から18世紀の「バブルの誕生」にかけて紹介してきました。ところが、世間には「産業革命はなかった」という俗説があるようです。
ビットコインはドルを超えるのか 通貨“栄枯盛衰”の歴史
歴史を動かしてきたのは「お金」
今、当たり前だと思っていることでも、過去には当たり前のことではなかったり、その逆に未来になったら当たり前でなくなったりすることはよくある話です。それは永遠のシステムと思われている「お金」にも当てはまります。例えば「貨幣」というシステムは人類が生んだ発明ですが、ビットコインをはじめとした仮想通貨の登場が少しずつ貨幣の存在を脅かしています。そんな「常識」を覆す話を、「お金」を切り口にしながら世界史の流れと転換点を解説する『世界〈経済〉全史』(宮崎正勝著)から紹介しましょう。
ジョン・ローの奇策「ミシシッピ会社事件」
簿記の歴史物語 第13回
放蕩生活のすえに死刑を言い渡され、脱獄に成功し、最新の経済・金融知識を身に着けたジョン・ロー。1708年当時のフランスでは、彼はプロのギャンブラーであり、おそらくはスパイだろうと疑われていました。ところが1715年、彼の提案したアイデアが国王諮問会議で受け入れられます。ジョン・ローの施策を紹介する前に、当時のフランスの状況について説明しておきましょう。太陽王と呼ばれたルイ14世ですが、反面、無分別な戦争を繰り返した結果、政府の財政は悪化の一途を辿っていました。
球根1個が家1軒の価格に、オランダのチューリップバブル
簿記の歴史物語 第11回
1602年に世界で最初の株式会社「オランダ東インド会社」が誕生しました。近代的な資本主義社会への第一歩をいち早く踏み出したオランダですが、同時に、現在にも通じる資本主義の弊害が噴出します。たとえば1607年には、早くも株式の空売り騒動が起きました。これはフランドル出身の商人アイザック・ルメールが引き起こしたものです。アムステルダムにやってきた彼は、現物商品の売買はもちろん、手形や海上保険、商船を仕立てての貿易など、手広く商売を行っていました。オランダ東インド会社が結成されると、さっそく85,000ギルダー相当の株を取得して大株主になりました。アイザック・ルメールは猜疑心の強い人物だったのでしょう。配当の増額を強硬に主張し、(おそらくは利益隠しを疑ったため)会社に財務情報の開示を要求しました。その願いが突っぱねられると、今度は報復に出ました。投機を仕掛ける会社を設立して、オランダ東インド会社の株を空売りしたのです。たしかにオランダ東インド会社は、世界で最初の株式会社でした。しかし、それを取り囲む制度は現在ほど整備されていませんでした。たとえば、株券は投資者ではなく会社側が保管する仕組みで
花のお江戸は「自由主義経済」だった?
簿記の歴史物語 第8回
前回の記事では、江戸の三井越後屋の帳簿を紹介しました。当時の日本としては先進的な帳簿であるだけでなく、歴史的な史料としても重要です。私たちが「江戸の商人」と聞いてイメージするシーンは、三井家の帳簿に大きく影響を受けています。店の主人は代々の家を守ることに心血を注ぎ、優秀な番頭さんが商売を回し、多数の奉公人が出入りする――。時代劇や古典落語に描かれる商人のイメージは、三井家の帳簿と無関係ではありません。ところが三井家は、決して当時の一般的な商人の姿ではありませんでした。
IKEAの未来を揺るがす時代の要望に新CEOはどう挑むのか?
プロディーン新CEOの挑戦の行方は
世界最大の家具小売店IKEAに、6人目のCEOが誕生します。9月就任予定のイェスパー・ブロディーン新CEOは、これまでの強みの強化に加えて新しいことにも挑戦すると表明しました。今年の2月に書いた「IKEAの通販が本格的に始まる」という記事では、通販によって顧客拡大が期待できると顧客目線で分析を行いましたが、経営者の立場から見るとそれは少し違った見方になるようです。独自の製品設計と巨大店舗による販売モデルに強みを持ち、日本でも高い人気を誇るIKEAは未来に向けて変わっていくべきなのでしょうか? 新CEOの考える経営環境についてまとめてみましょう。
住宅選びのプロに聞く “値下がりしない”家の見抜き方
価値のある家を賢く買う方法は?
空き家の増加が社会問題化している昨今、これからマイホーム購入を考える人にとっては、「値下がりリスク」が心配のタネ。どうせ買うなら、資産価値が下がらない家を選びたいものです。資産価値を維持できるのは、どんな家なのでしょうか。「住宅選びのプロ」の見方を紹介します。
アップルが10億ドルファンドを始めた政治的な理由
トランプ大統領との関係性とは
iPhoneのアップルがアメリカ国内での先進的なものづくり支援を目的に10億ドル(約1,130億円)のファンドを作ると発表しました。「アメリカ製造業の雇用創出を目指す」と言います。ほかにもiPhoneの生産委託先である鴻海精密工業が新しい工場をアメリカに建設する動きもあります。その背景にあるのはドナルド・トランプ大統領の存在です。アメリカに雇用を生むことを政策の第一目標とするトランプ大統領は、海外に利益を移転するグローバル企業に厳しい目を向けています。そのせめぎ合いの中心にいるアップルの状況をまとめてみましょう。
トランプ新大統領がトヨタに警告、つぶやきの真意は
「国境税」は実現可能か
1月20日、いよいよアメリカのドナルド・トランプ新大統領が誕生します。トランプ氏はすでに大統領就任初日に実行する政策を発表していますが、選挙戦で掲げた「TPP離脱」もそのなかに入っています。公約通り、保護貿易やアメリカ国内の雇用を回復させるための政策を優先させるのでしょうか。そんななか、新年早々、気になるニュースが飛び込んできました。トランプ氏が、トヨタに対して警告を発したというのです。気になるその中身を紐解いていきましょう。
日経平均がもしこれからバブル期を超えるとしたら
2017年、株価の展望は…
日経平均が年初来高値を更新しています。この原稿を書いている時点で株価は19,000円台に突入。このままの状況でいけば最高値のままで大納会を迎えるかもしれません。今年前半は停滞・下落の様相をしめしていた日経平均ですが、ポケモノミクスやトランプショックで持ち直し、昨年の最高値である20,868円を視野に入れるところまで上昇してきました。もしこの壁を突破して、来年、25,000円近辺まで株価が到達すれば、株価バブルが再来する可能性が出てきました。1989年以来長きにわたって株式市場を呪縛していたバブル天井の呪いを断ちきることができるのか?来年の株価を展望してみましょう。
美しい数式だけでは成り立たない クオンツが語る金融市場
シンプルな数式に何を加えるのかを見極める
金融の世界では、投資を成功させるために日々緻密な計算やプログラミングを行う専門家がいます。それが「クオンツ」という職業で、金融機関や投資家の利益の源泉ともなる重要な仕事のひとつです。ここではロボアドバイザー「THEO(テオ)」を提供する「お金のデザイン」で、クオンツを務める東海林紘氏に、その仕事と数学の専門家である彼らの眼から見た金融の世界について話をうかがいました。
世界の金融市場にうずまく「4つの潮流」
個人投資家が資産を守り増やす4つのポイント
100年に一度の金融危機後の長いデフレから、過去最大規模の金融緩和、そして日本の金融史上初のマイナス金利の導入と、投資家を取り巻く状況は目まぐるしく変化しています。海外でも、遅々として進まないアメリカの利上げやイギリスのEU離脱など不透明な要素が多く、自らの資産をどう運用していけばよいか悩む個人投資家は多いでしょう。日本の金融工学の第一線で研究を続ける京都大学大学院の加藤康之教授に、個人投資家が身につけるべきスキルと資産運用の今と未来について語っていただきました。
J.P.モルガン ストラテジストが語る金融市場の行方
個人はどう資産運用していくべきか
円安株高を演出したアベノミクス相場が失速するなか、マイナス金利の導入で個人投資家は資金の置き場を見失っています。方向感の見えない相場に対し、私たちはどう向き合っていけばよいのでしょうか。JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト 重見吉徳氏に、今後の金融市場の行方と、個人投資家が資産を守り増やすための心構えについて話を聞きました。
東京市場を急騰させた日銀の新たな政策
銀行株がいっせいに息を吹き返した理由
東京株の全面高はなぜ?9月21日、日銀が新しい金融緩和の枠組みを発表したことで東京の株式市場は全面高になりました。株が上がるというのはいいことなのですが「なぜ?」「難しいことを言われてもさっぱりわからん!」という意見も多いと思います。日銀は何を発表したのでしょうか?ものすごく簡単に説明してみたいと思います。今回、株価が上がった理由は簡単にいうと二つあります。一つは「金融緩和を長期戦に持ち込みますよ」と宣言したことです。アベノミクスではマイナス金利政策で日銀がじゃぶじゃぶとマネーを供給して、景気や株価を下支えするという結構無理な政策を行っているので、「それがそろそろ打ち切りになるんじゃないの?」という疑念をみんなが抱いていました。金融緩和が終了して金利が上がると、1990年頃のバブル崩壊の再来で、不動産価格が暴落したり、企業の株価が下がるのではと、みなが心配していたのです。しかし、「それはしない」と日銀が宣言したことで、株式市場の参加者が安心した。それが21日の大きな上げにつながったわけです。
マイナス金利時代の投資術
ボーナスで投資を始める前に知っておきたいこと
夏のボーナスの使いみちについて考えるのが楽しい今日この頃。買い物や旅行などにつぎ込むのもいいですが、賢く投資をしてお金を増やす、という選択肢を考えている方も多いのでは。そのような投資を始める方が事前に知っておくとよいのが、世界経済の動きや市場の現状についてです。6月18日、新宿にて開催された資産運用セミナーでは、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が「ボーナスで始める賢い資産形成」と題して、世界や日本のマーケット事情から、それらを踏まえた投資方法までわかりやすく解説しました。
英国EU離脱、市民が経済悪化より優先したもの
生活と治安どちらを選ぶか
可能性はあるが本当にこうなるとは政治家も思わなかった?6月24日の市場は大波乱になった。1ドルは一時99円台に突入。株価は終値で1286円超の下落。これらの混乱の原因は昼過ぎに飛び込んできたまさかの「英国の国民投票、EU離脱票が過半数で勝利をする見込み」というBBC放送のニュースだった。投票前は離脱派が追い上げているとはいえ、最終的には僅差で残留派が勝つと見込まれていて、離脱派が勝つケースは「そういうリスクを考えておいたほうがいい」というレベルだったこともあり、こうして離脱派が勝利を収めることが確定すると市場がこれだけ混乱するのは仕方のないことだと思うしかない。さて、なぜ英国がEUから離脱すると円高になったり株安になったりするのか。不安定に展開するであろう今後のマーケットを読み切るためにも、簡単にこれまでの経緯をまとめておこう。