はじめに
60歳で定年したときの資産は?
続いて資産と負債の状況を見ていきましょう。現在の貯金総額は3,500万円、投資総額は2,500万円ですから、金融資産は合計6,000万円になります。一方で住宅ローンの残債は約2,000万円ということなので、今現在で4,000万円のプラスになります。
ご年齢から考えると、今後10年くらいは給料が上がり、55歳くらいから役職定年などにより年収がダウンするケースが多いでしょうか。ひとまずここでは全体を平均化して、今から60歳まで給与が横ばいで推移すると仮定して考えましょう。単純計算すると年間180万円のプラスがあと15年続くとすると、現在の金融資産6,000万円に2,700万円を上乗せできるので、60歳で8,700万円が用意できます(運用益は考慮していません)。住宅ローンの残債は、60歳時点で12年。月々の住居費が8万円ということですから、以後のローン返済資金は8万円×12ヶ月×12年=1,152万円と考えられます。
毎月の家計から教育費を捻出するのが基本
続いて、これからの大切なライフイベント資金であるお子さんの教育費について考えましょう。基本的な教育費の考え方として、高校卒業まではその時々の家計から教育費を捻出します。まとまった資金がかかる大学の学費は、お子さんが0歳の頃から積立等で準備しておきます。ご相談者さんは、「高校から私立も考慮している」ということなので、ここでは私立高校に行った場合の公立高校との差額と、「大学は、一人は文系、一人は理系、大学まで」の学費を計算したいと思います。
文部科学省「令和5年度子どもの学習費調査」によりますと、高校生の学習費総額は、公立が59.8万×3年=179.4万円、私立が103.0万×3年=309万円となっています。つまり、私立高校に行った場合は、公立高校よりも129.6万円多くかかると計算できます。お子さん2人が私立高校に行った場合、公立高校に行くよりも259.2万円多くかかります。
「令和3年度私立大学入学者にかかる初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」によると、私立大学文系の場合、初年度納入金が118.9万円、2年目から4年目が各96.3万円ですから、4年間では合計407.8万円となります。私立大学理系の場合、初年度納入金が156.6万円、2年目から4年目が131.5万円ですから、4年間では合計551.1万円となります。つまり、私立大学文系と理系にひとりずつ進学した場合の教育費は、958.9万円となります。
出典:「令和3年度私立大学入学者にかかる初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
教育費についてまとめましょう。私立高校に二人進学した場合、公立高校よりも差額が239.2万円かかります。私立大学文系と理系にひとりずつ進学した場合の教育費は、958.9万円となります。つまり、用意したい教育費総額は1218.1万円となります。