はじめに
投資の目的に応じて投資信託を選ぼう
——これから資産形成しようとする人たちは、投資信託をどのように活用していけばよいでしょう。
まずはお金をどこにどう割り振るかを決めるのが先決です。利益や分配金にかかる税金は20%を超えるので、iDeCoやNISAといった非課税で投資できる有利な制度はフル活用したいですね。老後の資金はiDeCo、余ったお金や現役時代に必要なお金はNISA、さらに余裕があれば証券会社や銀行の口座に入れる、というふうに、どの器にどのくらいお金を入れていくかを検討しましょう。
——具体的な商品選びでは、どんなところがポイントになりますか?
まず少額から始めてみるという人なら、つみたてNISAの対象になっているような低コストインデックス投信で国内外の株や投信に分散投資というスタイルで十分だと思います。
もう少しステップアップしたい人は、お金の目的を明確にして、それに応じた商品を選ぶのがおすすめです。投資の目的には大きく分けて3パターンあります。
第一は「なるべくお金を減らさない投資」です。もちろん、投資ですから元本保証はなく、相場環境が悪ければマイナスにはなりますが、この下落幅を小さくすることを目標にするわけです。これには、さきほどお話した「リスクコントロール型」が向いています。あるいは、『eMAXIS最適化バランス』シリーズなど、リスク水準が設定されているバランスファンドでもいいでしょう。これらの投信は目標設定がしやすく、大きく負けにくいというメリットがあります。
——残りの2パターンはどんなものですか?
第2のパターンが、「積極的に増やす投資」です。といっても、投資する全額をすべてリスクの高い投資先に向けてはいけません。投資先を中心となるコアとそこにプラスするサテライトに分けましょう。
コアとなる部分には低コストインデックス投信やバランスファンドなどを使ってオーソドックスな分散投資をします。
サテライトの資金では小型株や新興国、成長が期待できそうなセクターなど、リスクは高くても成長が見込めそうな投資先を選ぶわけです。
第3が「キャッシュフローのための投資」で、毎月分配型投信を使うイメージです。近年は世界的な低金利が続いており以前ほどの分配金は出せなくなっているうえ、金融庁がコストや投資効率の面でこうした商品を問題視していることもあり、金融機関も積極的な販売はしなくなっているようです。それでも、あくまで取り崩しが目的なのであれば、1万口あたり30円程度の身の丈にあった分配を出している分配型投信を活用するのはありだと思います。
——投資対象が同じなど、よく似た投信はたくさんあります。良い投信を絞り込むにはどうしたらいいでしょうか。
できれば設定から5年以上経過した投信の中から、過去のパフォーマンスを比較しましょう。アクティブ投信であれば、最低条件としてインデックスに勝っているものを選ぶ必要があります。
リスクに見合ったリターンを取っているかどうかを示す指標である「シャープレシオ」をチェックするのもいいでしょう。数値が大きいほどリスクを抑えながら効率的な投資ができていることになり、1を超えているものが目安になります。
投信情報サイトのモーニングスターやネット証券などでは投信を星の数などで評価しているので、こうした情報を参考にするのもいいでしょう。楽天証券であれば、3以上を目安にしてください。
——個人投資家にとって、投資信託はさまざまな投資目的に活用出来る便利な金融商品ですね。どうもありがとうございました。