読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する野瀬大樹氏がお答えします。


NISA口座はどう扱えばよいのですか。どのような商品(株、ETF、投信)を、どんなタイミング(毎月、四半期)で購入すべきなのか。また、iDeCoとの使い分けなども知りたいです。
(40代前半 男性 既婚・子供1人)

野瀬: 通常、株式や投資信託の配当や売却益に対しては約20%の税金がかかります。

たとえば100万円で買った株式を200万円で売った場合、200万円-100万円=100万円の儲けに20%の税金がかかり、儲けは税引き後80万円になるわけです。

それに対し、株や投資信託などの「少額」の投資の配当・売却益が非課税になる制度が「NISA」です。

「非課税」と聞くと飛びつきたくなるのですが、もちろん色々な制約や条件がありますので注意が必要です(数値を簡略化するためいわゆる「復興税」についてはここでは計算から省いています)。

NISA口座の上手な使い方として押さえておきたい特徴は、以下の2つです。

1)投資した年から5年間の非課税
2)投資額は1年120万円が限度で最長5年間、投資枠の繰越はできず

対象となるものは、上場株式(海外含む)・株式投資信託・ETF(海外含む)・REIT・新株予約権付社債などです。

NISAとiDeCo、大事なのは使い分ける視点

iDeCoは「個人型確定拠出年金」のことです。その性質を簡単に説明しますと、従来の「もらえる年金額」が確定している年金制度とは異なり、運用スタイルを自分で選びます。

運用成績がよければ「もらえる年金」も増えますが、悪ければ減るという「自己責任型年金」といえます。

NISAも投資である以上、自己責任という共通点はあるのですが、iDeCoが60歳になるまで引出しができないのに対して、NISAはいつでも引出しができる「流動性」のメリットがあります。

ただ、iDeCoはその掛け金を全額所得税の計算で控除できるメリットがあるのに対して、NISAは儲け部分のみが控除可能です。

ですから、“どちらが優れているか”という観点ではなく、「将来の年金」としてのiDeCo、「プラスアルファの資産運用」としてのNISAという使い分けの視点が大事です。

NISAで狙うのはハイリスク・ハイリターン

初心者の方が取引をはじめるにあたって、「投資初心者は少額から」というのが投資の原則です。NISAにおいても、この投資原則を守ることがおすすめです。

理由はNISAの特徴です。NISAの「投資額」は年120万円という規制がありますが、そこから生まれる儲けへの非課税は無限大です。

一方、もしNISA口座から損が出ても、ほかの投資の利益とのいわゆる「損益通算」はできない、というデメリットもあります。

そう考えますと、「使わなければ損!」とその枠を無理やり目一杯使うよりは、20万~30万円程度のハイリスク・ハイリターン銘柄(1.社会的な事件があった不祥事株、2.一株の値段が低い低位株など)をとりあえず買い、大化けするのを待つのがお得です。

なぜなら、その場合仮に損が出たとしても、損益通算できなくなる金額も20万~30万円程度で済みますし、もし大きな得が出たらその儲けから出る利益はすべて非課税になるからです。

私の株式投資の方法は、数銘柄しっかり分析して目をつけておき、その銘柄が何らかの原因で大きく下がったタイミングで買い、その後の値上がりをじっくり待つスタイルです。この方法で株価の反動を待つので、大きく損をすることが少ないからです。

年120万円を念頭におき「最低売買単位」に注目

その方法をとる場合に、気をつけなければならないのがNISAの「年120万円枠」です。

最低売買価格が高い銘柄の場合「欲しい」と思ったタイミングがあったとしても、それがたとえば121万円だった場合、せっかくの買いのタイミングを逃してしまいます。

ですから、目をつけておく銘柄にもう少し条件をつけるならば「最低売買単位が小さい」という点です。

まず、しっかり情報のアンテナを張り、「煽る情報には惑わされず、でもチャンスは逃さず」の視点が大切です。

せっかくの投資戦略が120万円の投資制限に無意識に引きずられることもあるので、チャンスを逃さないように口座だけ作っておいて、あとはじっくり情報を集める……というのも1つの方法かもしれませんね。