ベンチャー企業への投資といえば、ベンチャーキャピタル(ベンチャーへの出資に特化した投資ファンド、VC)やエンジェル投資家(創業まもない企業に出資する富裕層)に限られたもの。そんな認識を持っている方は多いかもしれません。

しかし、近年は日本国内でも株式投資型のクラウドファンディング(CF)が複数登場。個人であっても、ベンチャー企業に投資することの可能な時代が到来しようとしています。

その中でも特異な事業モデルで注目を集めているのが、2年前に設立された「エメラダ」です。いったいどんな特徴があり、投資妙味はいかほどなのか。最新案件を軸に探ってみます。


新規募集は「新機軸のグルメサイト」

4月11日、エメラダのホームページに新たな動きがありました。「まもなく募集開始の案件」として、新たな発行体の情報が追加されたのです。

翌12日の18時から募集を開始するのは、同名のグルメサイトを運営しているSARAH(サラ)というベンチャー企業。「『食』のビッグデータで勝負する、新グルメサイトを運営するスタートアップ」と紹介されています。


SARAHのPC版ホームページ

他のグルメサイトにはないSARAHの特徴は、メニュー名と地域で情報を検索できる点です。「辛い」「さっぱり」といった味覚や気分、「野菜不足」「ヘルスケア」などのキーワードでも検索可能になっています。

「グルメなユーザーさんには、他人からオススメの料理を聞かれた時のための“備忘録”として活用していただいているようです」と語るのは、同社の高橋洋太CEO(最高経営責任者)。大々的な広告は打っていませんが、「初期の『食べログ』に遜色ないペースで投稿数が伸びている」(同)といいます。

サービス開始からの2年半で集まった投稿は35万。これまでに20万ユーザーを獲得してきました。今回エメラダを経由して2,030万円を調達し、人材採用とプロモーションのための費用に投じる考えです。

エメラダのスキームとは?

エメラダが他の株式投資型CFと異なるのは、投資家に与えられるのが株式ではなく、新株予約権であるという点。申し込みは1口=7万円で、投資家は2口、5口、7口から選択できます。口座の開設費用や維持コストは無料です。

投資家にとっての主な換金手段は、発行体がIPO(新規株式公開)した後の新株予約権の行使と株式の売却、もしくは、発行体がM&Aされた際の新株予約権の売却という2つ。新株予約権の権利は取得してから10年後に消滅してしまいますが、最後の1ヵ月間は権利行使が可能になっています。

このスキームのメリットとデメリットはどうなっているのでしょうか。発行体にとっては、スピーディーに資金を調達できたり、意思決定権を持つ株主が増えないというメリットがあります。

エメラダのスキームであれば、検討から募集開始までは1ヵ月前後。また、新たに株主が増えて意見を調整するという手間が発生しないため、人的リソースに限りのあるベンチャーにとっては有効な資金調達手段といえます。一方で、不特定多数からの募集になるので、想定していた額を調達できない可能性がある点がデメリットとなっています。

投資家にとっては、発行体がエグジットに成功すれば、大きなキャピタルゲイン(値上がり益)が見込める点がメリットとなります。ただ、実際にエグジットできるベンチャーは10社のうち1~2社程度とされています。その意味では、ハイリスク・ハイリターンな投資といえそうです。