はじめに
将来にどんなことが起こり、そのためにはどんな準備が必要かなどを考えることを「ライフプランを立てる」といいます。「マイホームが欲しい」「子どもの教育費が心配」「老後資金は大丈夫だろうか」など、漠然とした不安もライフプランを考えてみることで見通すことができ、今何をすればいいのかがわかるようになるのです。
2016年11月5日に行われたセミナー「ライフプラン=マネープランではない ライフプランへのよくある誤解」では、アクサ生命のマスター フィナンシャルプランアドバイザーの木村冬悟氏が実際のライフプランの流れを交えつつライフプランの必要性を語りました。
本記事では、木村氏が行ったセミナーの内容を通して、ライフプランを考える大切さをお伝えします。
「マンション購入前にFAに会いたかった」(Nさんの場合)
ここで少しリアルなお客様の声をお伝えしたいと思います。
20代後半で郊外に4000万円台の3LDKマンションを購入したNさんは、「マンションを買う前にFAにライフプランを立ててもらっていたら大損せずにすんだかも」と当時を振り返ります。マンション購入時にはまだ小さかったお子さん2人と夫婦の4人家族だったNさん。買ってからしばらくすると地方に転勤になり、単身赴任をすることに。やっと戻ってきたときには子どもが小学校低学年、20代後半に買ったマンションが手狭に感じるようになりました。
買い替えるかどうか悩んでいたときにアクサ生命のFAにライフプランを立ててもらったところ、「マンションを買い替えるのだったらいつ頃?」という質問に、「(お金を貯めて)10年後くらいかなぁ」と答えると、「10年後には上のお子さんが20歳、下のお子さんも17歳になっています。買い替える必要がありますか?」と返されたそうです。
そして、「家に何を求めていたのですか?」と聞かれてNさんは、「自分は予算とエリアを決めただけで、家に何を求めるかなど考えることなく買ってしまったのだ」と気づいてハッとしたといいます。当時、そういう質問をしてくれる人がいたら、多少遠くても中古でも一戸建てを買っていたかもしれないと思いました。Nさんは今のマンションからの買い替えを考えると、「本当にムダなことをしたなぁ」と思わずにはいられないそうです。
ライフプランはなぜそうしたいのか、理由を深く掘り下げる作業
ライフプランを作ることは、タイムマシンのような機能があります。10年後、20年後の世界を想像して、今どうするべきかを考えていくからです。私たちは、お客さまに「なぜ、それをしたいのですか?」としつこく問いかけて、その理由をどんどん深堀りしていきます。
そうすると、お客さまが自分で考えていたことがだんだん形になってくるのです。最初のアプローチは、そのお客さまが「自分の人生の中で何が一番気になっているのだろう」ということです。気になっている項目について聞きますが、「なぜ気になるのか?」「何を叶えたいのか?」をとことん突き詰めます。
ライフプランのテーマは、結婚、教育、住宅、旅行、耐久消費財、セカンドライフなどいくつもあります。どれが一番気になるかを聞いて、優先順位が高いものから叶えられるようにプランニングします。お客さまは、ライフプランを作ることで夢が叶えられそうだと思うから、いろいろと話してくれます。今までどう生きてきて、何を大切にしてきたか、これからどう生きていきたいかすべて聞いていくので、2~3時間はあっという間にたってしまいます。この間、私たちはたまに質問をするくらいであまり話をしません。お客さまが話されている時間が主です。中には、「親にもここまで話したことがないのに」とおっしゃるお客さまもいらっしゃいます。
万一にも1万分の9999にも対応できる準備を
ライフプランを立てることは、お金だけではなく人生全体を考えることです。まず、私たちFAがお客さまにお話するときには「ライフには三つの意味がありますが。その3つのライフとは何でしょう?」とお聞きすることからはじめます。一つ目は「人生」、二つ目が「生活」、三つ目が「生命」です。
(1)「人生」の夢を叶えるために、フィナンシャルデザインをしてお金を整えます。
(2)毎日の「生活」を充実させながら、家族で協力して(1)のためにがんばります。
(3)「生命」はリスクに備えるプランです。
万一のことがあっても、(1)が総崩れにならないように、(2)が守られるように(3)を考えていく必要があります。(3)の対策としては保険、貯蓄、社会保険などで備えることが考えられます。このあたりのバランスも説明し、お客さまと一緒に考えます。
3つのライフのうち、(3)は万一のこと。つまり、1万分の1の確率で起こることと考えると、(1)と(2)は残り1万分の9999です。生きているうちには(1)と(2)が占める割合が圧倒的に大きく、大事です。アクサ生命は、もしもの場合に備えるだけではなく、生きているときの人生や生活にためのお手伝いもしています。1万分の1にも1万分の9999にも両方に準備ができている状態、万を全部、すなわち「万全」の準備ができている状態にしましょう、とご提案しています。