はじめに

個別銘柄を長期保有するメリット

森永製菓のケース

それでは銘柄をちょっと見ていきましょう。

森永製菓です。デフレからインフレということで、デフレ銘柄的なところで紹介したいと思います。森永の「カレ・ド・ショコラ」ですね。

本当は皆さまに食べて比較していただきたいのですが、あるとき我々スパークスは、森永のこのチョコレートを食べてゴディバと比べたんです。森永の「カレ・ド・ショコラ」とゴディバの「カレ・アソートメント」両方を食べるんです。どちらもおいしい。もちろん食べ物ですから、皆さんの体調や嗜好もあるので千差万別です。けれども大事なのは、どちらにもおいしいと意見が分かれるということです。そこで値段を比べてみます。森永の「カレ・ド・ショコラ」はグラムあたり3円。一方、ゴディバの「カレ・アソートメント」はグラムあたり25円です。8倍もの差がある。そんなに差があるのか、という話です。

私どもは、森永はまだ当時、海外売上比率がほぼゼロに近かった。こんなにいいチョコレートを持っていて、ビジネスモデルはしっかりしているのに、市場の成長性が全然取れていない。しかも経営者が新井社長に代わったばかりで株主重視になってきている。先ほどのスライドのオレンジ(企業収益の質)、青(市場成長性)、グレー(経営戦略)がしっかりしているということで、私たちは投資を決めました。

森永の株価も日経平均と同じように、20年間ずっと下がっています。バブル崩壊の5,800円から1,390円、こんなにずっと下がっている。我々は、森永のそのチョコレート「カレ・ド・ショコラ」を食べて、おかしいと。そして投資をしました。2014年12月です。そこからは見てのとおり、2年半で株価は5倍になりました。海外に出て行ったんですね。しかも海外には価格競争力のある商品を値上げしていける。それで7,000円までつけて足元は4,000円ぐらいまで下がっている。

皆さま、どうですか。森永はここから上がるでしょうか、下がるでしょうか。私たちも改めて、じっくりと森永の実態価値を見極めていきたいと思います。

ソフトバンクのケース

次はソフトバンクです。

ここは先ほどの3つの輪に合わせて、ソフトバンクで申し上げると、2006年、12年前に1.2兆円で買った「ボーダフォン」が、私どもは今の価値は5兆円と考えています。当時、孫さんはこう言いました。

「ほら吹きと呼んでいいけれども、10年後にNTTドコモを営業利益で抜きたい」と。彼は10年待たずして8年目の2014年に抜きました。私どもはそれを見てから、2015年から投資に入っています。そして、国内のシェアを十分に取って海を渡り、米子会社スプリントを保有しています。ようやくT-Mobileとの合併に承認が下りると、その価値は現在3兆円と見ています。

経営戦略、経営者については、孫さんは1,000社に投資し、そのうちの2社が11兆の価値を今持っています。ここに一昨年買った半導体の会社アームとか、10兆円のビジョン・ファンドとか、こういうところの利益は保守的に見積もって計算しています。全部合わせると5と3と11。それに保守的な部分を合わせると、約18~20兆の価値があると言われています。株価にすると2万円です。今後、楽天の携帯電話事業への新規参入などの要因で、オレンジ(企業収益の質)や青(市場成長性)に影響が出ないかどうか、慎重に見極めていきます。

自分が愛する事業に投資する醍醐味

最後にウォーレン・バフェットさんの言葉です。娘さんに対してこう言ってるんですね。

「娘よ。もし君が、何もよく企業の分からない、事業のことが分からない、投資に興味がないというのであれば、S&P500種株価指数に投資しなさい。そうすればアメリカがつぶれない限り資産は増えていくだろう」

仮に、その娘さんが20歳のときに100万円をS&P500に投資するとオレンジ色の線です。もうつぶれちゃっているやつです。50年で70歳になったとき、娘さんの100万円は156倍、1億5,600万円になります。

ただ、バフェットさんはこうも言っているんです。

「インデックスもいい。ただ君が、もし好きな事業があり、他の人よりよく知っていて、その事業を応援したいというのであれば、その銘柄に投資していきなさい」

どんな方にもそんな会社はあるのではないでしょうか。仮に自分の父親の会社に投資したとしましょう。バークシャー・ハサウェイに同じように20歳のとき100万円を投資する。そうすると資料にあるとおり24,000倍です。つまり、240億になるわけです。かたやインデックスが1億5,000万。そして銘柄、自分が愛している事業に投資した場合、240億。200倍以上の差が出るわけですね。ここに株式投資の醍醐味があります。

インデックスももちろんいいです。そして、いい銘柄で勝ち続けるのも簡単なことではありません。けれども、ぜひ皆さん、日本株が利益で見ても、純資産でも見ても、フローで見ても、ストックでも見ても、安いときにぜひ購入していただきたいと思います。国の年金、GPIF、日銀にだけ買わせている場合ではないのかなと思います。皆さん自身が好きな企業の株式をずっと保有していくことが大事だと思います。

ご静聴ありがとうございました。

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