はじめに
生命保険料控除で利回りアップ
学資保険は、生命保険料控除を受けることができるため所得税・住民税の負担が軽くなります。生命保険料控除の中の一般生命保険料に該当し、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8,000円の控除を受けることができます。ただし、複数の保険に加入している場合には最大控除額以上の控除を受けることができないので、税制メリットの効果は下がることもあります。
学資保険の税制控除を利用できる人であれば、実質の利回りは高くなります。例えば所得税率20%の人が上表の学資保険Aに加入した場合、軽減できる税額は所得税8,000円(4万円x20%)、住民税2,800円(28,000円x10%)の合計1万800円です。これを利回りに算入すると学資保険は投資商品と同じくらい利回りが高いと言えるでしょう。
しかし、注意することもあります。年収が減って所得税率が下がる、あるいは20年という長期間で生命保険料控除が改正や廃止になることも考えておくことです。このような場合、税制メリットを受けられなくなる可能性もあるため、税金を軽減することを重視して加入するのはおすすめできません。
保険会社が破綻!契約はなくなるの?
契約先の保険会社が破綻したら学資保険はどうなるのでしょうか?社会の変化が激しい時代ですから、契約期間に保険会社が破綻するリスクも想定する必要があります。保険会社が破綻した場合、契約がなくなるわけではありませんのでご安心を。
契約は「生命保険契約者保護機構」により一定の保護がありますが、学資保険など貯蓄性の高い保険については満期金が削減され、どのくらいの削減になるのかは破綻後でないとわかりません 。
結局のところ学資保険はオススメなの?
現在の超低金利の時代、貯蓄をするのに保険を利用するのは有効ではないと筆者は考えます。そもそも保険料の全てが運用に回されるわけではありません。保険料には保険の維持経費に使われる部分があるからです。
親が万が一の時の死亡保障は、定期保険など掛け捨て型で備え、教育費の貯蓄は別に分ける考え方もあります。たとえば30歳男性が300万円の10年定期保険に加入する場合、月額約400円で加入できる保険もあります。同じ保険を10年後、40歳で加入し直した場合には月額約650円です 。毎月コーヒー1杯分で300万円の保障を買えると考えたらどうでしょうか?
また、貯蓄については学資保険のデメリットである、途中解約の元本割れやインフレリスクをカバーする運用方法として、銀行の積立預金や会社の一般財形貯蓄、個人向け国債変動10年などがあります。
なお、15年や20年など長期間運用できるのであれば一部をつみたてNISAといった投資信託の積立にすることも考えたいところです。教育費が必要となるのが60歳以降の人はiDeCoを利用するのもありです。iDeCoは老後の私的年金制度で60歳まで引き出すことができませんが、教育費に使ってはいけないというルールはありません。学資保険以上のお得な税制メリットがあるので使える人は利用したい運用方法です。
学資保険に不安を覚える方に保障を備えながら貯蓄をする方法について選択肢があることをお伝えさせていただきました。我が家のベストプランについては、夫婦でよく話し合われるのがよいでしょう。