当てにならない分散効果

ここからはマニアの方向けにお話しします。「当てにならない分散効果」についてです。

これは何かというと、よくセミナーで分散投資をしなさいと言われていると思いますが、当てにならないと講演ではよく申し上げております。株式の場合、教科書的にいうと30~40銘柄に投資をすれば分散効果が期待できる、しっかりした低減効果が期待できると。この分散効果というのは、それだけ入れるとリスク自体が低減して安定的な運用ができるということです。理論上、それはそうなのですが、皆さんの判断は作為ですか?無作為ですか?

統計学上ランダムに抽出してくると、30銘柄から40名柄入れると安定的になります。しかし、皆さんが選んだ時点で作為です。皆さんには好き嫌いが明確にあって偏りますから、分散効果は期待できません。それを心の中でまず認識してください。高い配当が好きな人は、やっぱり高い配当が好きなんです。成長株が好きな人、IT企業が好きな人、ゲーム業界が好きな人、そういったところに偏るのです。だから、全然分散効果が効きません。なので、反対の相場になった瞬間、ものすごい勢いで下がります。皆さんがポートフォリオを組むときには、そういう欠点があることを理解したうえでやるのがいいと思います。それを無理やり、自分はこういう相場に弱いから違う銘柄を入れようとすると、先ほどの話になってしまうのです。好きでもない会社を入れてしまうと、それが下がったときに「入れなきゃよかった」と必ずなってしまうのです。

皆さんがやらなくてはいけないことは、例えばIT企業が大好きとか、ゲーム業界が大好きとか、そういう偏りがあるということを自分で知ったうえで、底値が偏っているのであれば、その下げ相場、つまりその株が半値になる相場になったときに買えるようちゃんと準備しておくということが大事だと思います。それを勘違いしないでください。分散の仕方というのは、名柄の分散もあれば、時間の分散もあります。タイミングリスクというのは、これはプロでも分からないということをお伝えしておきます。

理解できないものは買わない

大切なことは「理解できないものは買わない」。これは鉄則です。お願いだから買わないでください。自分が理解できるものを買ってください。理解できないものを買って、うまくいったケースを私は聞いたことがありません。ご自身の思考の限界があるかもしれない、自分の知識が足らないのかもしれません。足らなかったら補ってください。知るようにがんばってください。それをしないで訳の分からないまま、商品を理解しないまま、もしくはその会社の事業を知らないまま、投資の世界に入るというのは無謀です。理解できないものは買ってはダメです。お願いですから、それはしないでほしいと思います。

私は、参加される皆さんに勝者になっていただきたい。勝者になっていただくために大切なことは、ご自身が信じられることをしっかりやるということです。たぶんこれまでの講演の中でいろいろ聞いてきたはずです。どんなに頑張って預金をしても、普通の人であれば、何年たっても必要なお金はたまらないのです。ですから、リスクを取っていかなければいけない時代になってしまったのは事実です。鎌倉投信の商品を説明すると「結い 2101」というのはどんくさい商品で、リスクが小さい商品を作ろうとしていました。

なぜ、そんな商品を作ろうと思ったかというと、さきほどの紹介にもありましたが、私は1992年に住友信託銀行、今の三井住友信託銀行に入りました。ちなみに1992年というのは、半沢直樹と同期です(笑)向こうは設定ですが、こちらはリアルですからね。1992年はバブルの最終入行組なわけなのですが、信託銀行で扱っていた「ビック」という貸付信託の商品は、1992年ごろは大体4%、5%の年率がついて、ちゃんと財産形成できたのです。でも今は、預金をしているからといって財産形成はできないのです。だからわれわれは、4%か5%取れる安定的な運用を考えて「結い 2101」という商品を設計しました。日本人は預金文化の人たちなのでリスクをあまり取りたくないからです。だから、安心できる商品を作ったのです。

そういう意味で、皆さんが安定的な運用を目指すために一番大切なことは、自分の心が穏やかに運用できることが大事です。毎日、基準価額がいくらになるだろうとドキドキしたり、株価がいくらになるだろうとドキドキする運用は必要ないのです。必要がないと言いましたが、好きな人はいいんですよ。がんがんやればいいです。皆さんが、自分に合った投資スタイルをしっかり選ぶことが大事です。なぜならば、世の中にあるすべての商品は、万人に通用する商品はないからです。皆さんに合った商品を選んでいただくことがすごく大事であるということです。

もう一つ、いつもうちのお客さまに言ってきたのですが、投資信託というのは、プロが代わりにやっているのですから手数料を取られます。だから投資信託は投資の入り口だと思います。そういった中で、お客さまが自分でいい会社を見つけたら、投信を売って個別株を買ってもいいですよと言って来ました。それは入口だからです。最終的に応援したい会社が見つかればそれが一番いいと思います。ただし、分散投資の罠のように偏ってしまうので「やっぱりプロがいいね」ということで帰ってくるかもしれないと思っているわけです。