会社を見るときのポイント

最後に、会社さんを見るときのポイントをお伝えして終わりたいと思います。

会社でもっとも影響力がある人は誰か分かりますか。経営者です。その経営者をどういう観点で見るか。単純です。まず大切なことは、こうやって壇上に上がって話をしているときのエネルギーです。熱量です。訴えかける熱量というのは社員に届きます。そういう熱量なのかどうかをきちんと押さえることです。事業の内容より、そういった熱量があるかないのか、それはリーダーとしての資質が問われています。そこには人を説得できるような強さがなければいけません。この人についていきたいと思えるようなものがない社長は、当然ながらなかなか難しい状態になってきます。今は、完全に人不足です。仕事があっても人を採れない状態に陥っていますので、人を採れる経営者であるかどうかは非常に大きいです。これが1つ目です。

2つ目は、経営者というのは、大体化粧が厚いです。その化けの皮をはがすことはなかなか難しいです。そして話すことがうまいので、それにだまされないようにするということです。だまされないために何が必要かというと、一番いいのは社長が社員としゃべっているところを見ることです。例えば、こうやって登壇したあと降りていったときです。講演する前より後のほうが大事です。そのときに、社員に偉そうにしゃべっている経営者であれば、それは危ないと思います。社員との関係性を見ることはすごく大事だと思います。その人たちがどういう信頼関係でやっているのか。

例えば、社員を呼ぶときはどういう呼び方をしているのかではっきり分かります。特に、講演が終わって降りたときにその人の普通の姿が出ます。なので、終わってから注視してください。講演の後のほうが、その人柄が出ます。なぜかというと、登壇をしているときは緊張しているので、そのときは当然ながら演技をしているのです。これは私も一緒です。壇上で演じています。この役割をしないといけないと思っているからです。だから、壇上から降りた瞬間にすが出るのです。もう疲れているからです。その緩いときを狙って質問するのもいいと思います。不意打ちをかける。そうすることによって、その人となりが一番見えてきます。そういうようなやり方をIRのイベントなどで見てください。

できればIRイベントだけではなく、社員さんと接する機会も設けてください。いろんな方法でいいと思います。例えばBtoCの仕事であれば、お店に行っていただくというのもありです。BtoBの仕事の場合、なかなかそうはいかないと思いますので、そういうときは工場見学に行くのもいいかもしれません。なるべく社員の人たちと関わっていただく。鎌倉投信でファンドマネジャーとしてそういうことをやっていました。

私がよくやる手なのですが、工場見学に行くと大体おなかが急に痛くなってトイレに駆け込むのです。なぜだか分かりますか。工場のトイレは、大抵清掃されていないからです。そこで働いている人の会社に対する帰属意識や、誇りというものが全部見えてきます。お客さまが使わないトイレは、汚いところもあれば、きれいなところもあってはっきり分かれます。だから、いつも工場見学に行くとおなかを壊すんです。こういうことばかり言っていると、それを企業さんが知って準備してしまうので、また違う方法を考えたりします。もう完全に、化かし合いですね。

皆さんが会社を見るときに一番大切なことは、現場の人たちがどういう思いでやっているかです。それがそのまま結果に表れていくからです。今一番問題になっていますが人が辞めていってしまう。急成長していて、それでいて成長しようとする。仕事はあるけれども人がいないという状態が、今まさに現場で起こっています。社員さんたちが生き生きと働いていないと、人はなかなか採れないのです。それは皆さんもそう見ていると思いますが、学生さんたちも同じ思いで見ていて「この会社には入りたくないな」と思ってしまうのです。やはり、人がいて会社は成り立っているので、その部分は注意していただきたいと思います。皆さんにとって、一番いい会社を探してもらえたらいいなと思います。

ご静聴ありがとうございました。