はじめに

ランキングで見る「保育園に入りにくい駅」

下記の図は、スタイルアクトが独自の基準で算出した、「保育園に入りにくい駅」のランキング(東京23区、0歳児のみの集計)です。

順位 駅名 行政区名 最大不足人数 新築マンション相場価格(70㎡)
1 葛西 江戸川区 755 5,190
2 新小岩 葛飾区 701 5,080
3 北綾瀬 足立区 644 4,390
4 西葛西 江戸川区 639 5,400
5 篠崎 江戸川区 540 4,770
6 一之江 江戸川区 515 4,790
7 竹ノ塚 足立区 508 4,320
8 船堀 江戸川区 503 5,120
9 小岩 江戸川区 500 4,880
10 大泉学園 練馬区 488 5,260
11 瑞江 江戸川区 457 4,930
12 金町 葛飾区 426 4,620
13 亀有 葛飾区 425 4,980
14 荻窪 杉並区 415 7,300
15 勝どき 中央区 404 7,670

(統計手法については記事の最後を参照)

ランキングを一目見て、江戸川区の駅が多いことに驚いた人も多いのでは? 実は江戸川区の区立認可保育園はそもそも0歳児保育を実施していません(私立保育園では一部を除き、実施)。

そのため、「駅近隣の 0 歳児人口が都区部全駅で 2 番目の 821 名の最大需要を有しながら、 認可保育園等専用施設での 0 歳児定員数が 66 名と少ない」(スタイルアクト調べ)、ワースト1位の葛西駅をはじめ、江戸川区の駅が複数ランクインしました。

また、江戸川区の保育園事情以外にも、ワースト3の駅にはある共通点が。「江戸川区の西葛西駅と葛飾区の新小岩駅、足立区の北綾瀬駅の3駅はいずれも都心部へのアクセスが良い駅。そのうえ、都区部のなかでは比較的マンション価格が抑えられているため、人気が集中しています。今後も多くの需要が予想されます」と沖さんは説明します。

さらに、北綾瀬駅はこれまで一駅先の綾瀬駅との間を往復するだけの支線でしたが、今後は代々木上原方面への直通運転も計画されており、「千代田線の新たな始発駅」として注目を浴びています。

「座って通勤できる」という点に大きなメリットを感じても、そのために保育園に入るのが難しくなるという可能性も。また、近年は「保育園併設」を売りにしたタワーマンションも多く見られますが、自分が住んでいるマンションの保育園に確実に入れるという保証はありません。

ただし、このランキングは補足説明にありますように、認可保育園及び区が定める基準を満たす保育サービスを提供する施設に限ってのこと。認可外保育園まで範囲を広げて探す、勤務先に併設されている保育所を利用するなど、選択肢を複数持った上で、マンションを探すといいでしょう」。

子どもがいる想定で“疑似生活”してみる

また、DINKSの場合は朝出勤して夜帰宅するだけで、平日の日中や夕方は家にいないことがほとんど。そこで沖さんが提案するのは、マンション購入前にその周辺で“疑似生活”して、エリアの雰囲気をつかむこと。

「商店街を実際に歩いたり、スーパーに行ってみたり。子どもたちが学校から帰ってくる平日夕方の時間帯がおすすめです」(沖さん)

家の近くにショッピングモールや量販店があるのは確かに便利。でも、そうした施設がなくても、近隣の商店街に活気があって、ベビーカーでの散歩コースにぴったり、ということもあり得ます。

また、夫婦2人では不要と考えていても、子どもが生まれたら遠出や帰省でクルマを使いたいと考える場合も。でも、「駅に近い物件は駐車場の設置率が低いという特徴があります」と、沖さんは話します。クルマの有無も含めて、子どもがいないうちにシミュレーションしておくと「不便すぎて、産後すぐに引っ越し」という事態は避けられるかもしれません。

新婚がマンションを買うときのチェックポイントは?
(1)大規模住宅が集まっていて、都心までのアクセスがいい駅は「認可保育園に入りにくい」という可能性も。認可外、職場の保育所などの利用も併せて検討を。
(2)平日の夕方など、子どもがいる時間帯にマンション購入を検討しているエリアを歩いて、子どもがいる生活を想像してみる。
(3)今はいらないと思っていても、クルマが必要になるかも。駐車場の有無を含めて、夫婦でシミュレーションを。

・平成30年3月以降に各行政区により公表されたデータをもとに作成しています。
・各町丁目ごとの0歳児人口は、各区役所が公表するデータを利用しています。一部、町丁目ごとの0歳児人口を公表していない自治体については、行政区単位の0歳児人口の合計を各町丁目ごとの0歳児を含む年齢別人口の値を元に按分推計し算出しています。
・駅単位の集計に関しては、スタイルアクトが独自に定めた駅(実質同一駅を一つにしたもの)を起点に垂直二等分線で各駅間を分割し生成した駅の最寄となるエリアごとに0歳児定員、ならびに0歳児人口を集計し、各指標を計算しています。
・認可保育園ならびに区が定める基準を満たす保育サービスを提供し、専用施設を有する認定こども園、独自基準施設、地域型保育事業なども調査対象に含めています(今後新設予定の保育園情報も一部含まれます)。
・各保育施設の0歳児定員については区が公表する数値がある場合はそれらを利用しておりますが、一部未公表の施設などはスタイルアクトが独自に調査したものが含まれています。

取材協力

沖有人

スタイルアクト株式会社代表取締役。不動産ビッグデータを駆使したビジネス展開を得意とする。分譲マンション情報サイト 「住まいサーフィン」 、独身者向けマンション購入情報サイト「家活」を運営。

この記事の感想を教えてください。