はじめに

暖冬でも株価は比較的好調

12月と1月について、もう1つ注目したいポイントがあります。「例年より寒くない」、つまり暖冬の時も、株価が比較的好調なことです。

表1の右上の値は1.1%となっています。これは12月の「例年並み」の0.8%を上回っています。1月も「例年より寒くない」は2.6%と、それなりに高い水準でした。

冬は寒いほうが冬物衣料などの売れ行きが良くなったりしますが、逆に寒さが緩んだ冬だと、どうでしょうか。確かに、冬物衣料は売れにくくなるでしょう。しかし、外出しやすくなる面もあります。

たとえば、テーマパークなどには行きやすくなるのではないでしょうか。暖冬だと逆に、恩恵を受ける業界も少なくないことが理由にもあるでしょう。

2月だけ他の月と傾向が異なるワケ

表1をもう少し見てみましょう。実は、2月は他の2つの月とは傾向が異なっています。「特に寒い」月の株価騰落率が2.9%と最も高くなっているのです。であるなら、「2月は他と違って寒ければ寒いほどよいのか」と思ってしまうかもしれません。

しかし、ちょっと待ってください。最初の図でお見せしたように、2月は月末にかけて気温が上がります。年によっては、寒さが続く時もあれば、下旬にかけて暖かくなる時もあります。

ですから、単純に平均してしまうと、2月の上旬はとても寒くても、その後に急に暖かくなったりすると、平均気温が上がってしまいます。こうした影響を除くことはなかなか難しいのですが、少し別の角度から見てみましょう。

そこで、2月の月間で見て、最低気温が0℃未満になった日数を見ることにしました。0℃未満になった日数が多いということは、2月はとても寒い日が多かったということになります。とても寒い日が多かったかどうかで、集計を工夫してみることにしました。

このようにしてみると、やはり「例年より寒い」が3.5%と、最も株高の傾向となりました。一方で、他の月(12月と1月)に株高となった「例年より寒くない」は▲0.9%と下落しています。

前述のように、2月は春一番が吹く年もあり、月末にかけて段々と暖かくなる日も増えつつあります。寒い日が少ないと、きちんと冬のための消費を行わないまま、春を迎えてしまうからかもしれません。

今年の2月相場はどうなる?

1月ももうすぐ終わります。今年の2月の寒さはどうなるのでしょうか。

気象庁は1月10日にエルニーニョ監視速報を発表しました。これによると、春にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高いとしています。

太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象が起こると、日本は暖冬になりやすいといわれています。寒さが厳しくなくて、過ごしやすいのはうれしいのですが、景気や株価への影響は気になります。

気象庁は2月からの3ヵ月予測を1月25日頃に発表予定です。1ヵ月前の 昨年12月25日に公表された、1月からの3ヵ月予測では、「2月の関東甲信越の平均気温は平年並みか高い」となっていましたので、更新される発表は注目です。

“例年より寒い2月”となれば、景気や株価にとっては“暖かい2月”となるでしょう。

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