はじめに

定期預金と投資信託のセット販売「退職金運用プラン」のチェックポイント

銀行の多くは、退職金運用プランと称して、定期預金と投資信託を組み合わせた商品を販売しています。内容は銀行ごとにまちまちですが、預ける退職金の半分で定期預金、もう半分で投資信託を購入し、運用していく商品になっています。

一見、虎の子の退職金を有利に運用できそうに見えるのですが、結論からいうとこうした商品の中にいいものはありません。その理由は次のとおりです。

注意点1:定期預金の特別金利はすぐ終わる

退職金運用プランの定期預金の金利は「特別金利当初3カ月:年6%」などと書かれています。この低金利の時代に年6%とは超高金利に感じられますね。

しかし、そもそも年6%の金利が3カ月間だけ適用されるのですから、実際に受け取れる金利は約1.5%分のみ。さらに金利には約20%の税金がかかりますから、税引後の金利は約1.2%となってしまうのです。

しかも、この特別金利は最初の1回のみで、次からは店頭金利に戻ってしまいます。こちらは年0.01%などなので、まったく増えません。

【見抜くポイント】
高い金利が適用されるのは3か月など短期間なのか

注意点2:投資信託の販売手数料で利息が吹き飛ぶ

退職金運用プランの設定ができる投資信託は一部に限られています。多くは、販売手数料が数%かかるようになっています。ご丁寧に「投資信託を販売手数料なしで購入した場合は本プランの対象外になります」とただし書きをしているケースも見受けられます。それもそのはず、定期預金の金利を投資信託の販売手数料で取り返しているからです。

仮に、1000万円の退職金のうち500万円を定期預金(特別金利当初3カ月:年6%)、もう500万円を投資信託(販売手数料2%)で運用したとしましょう。

このとき、3カ月間(90日)で受け取れる定期預金の利息は
500万円×年6%×90日÷365日=7万3972円(税引き前)
73972円×80%(税金20%として計算)=5万9177円
となります。

それに対し、投資信託で支払う販売手数料は
500万円×2%=10万円
となります。

一見、3カ月で5万円以上の利息をもらえるなんてすごい! と感じそうですが、そのために10万円の販売手数料を支払っているのは、おかしいですよね。しかも、投資信託には信託報酬もありますので、手数料はさらに引かれていくことになります。

【見抜くポイント】
販売手数料・信託報酬などの手数料と預金金利の利息額を足し合わせて考える

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