はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、25歳の時に都心の1LDKマンションを購入した30歳の未婚男性。月8万円の住宅ローンの返済が重すぎて貯蓄もままならないといいます。ローンの借り換えをして負担を減らした方がいいのでしょうか。FPの横山光昭氏がお答えします。

東京で一人暮らしをはじめ、25歳の時に都心で1LDKのマンションを購入しました。5年間、住宅ローンの支払いを続けているのですが、毎月その返済でいっぱいいっぱいで、貯蓄がまったく増えません。購入時は、結婚したら売ればいいか程度に考えていたのですが、30歳になった今、結婚するような相手もおらず、このまま一人なのかもしれないと思っています。婚活もしているのですが、なかなか実らず、あきらめモードとなってきています。今は住宅ローン控除を受けているところですが、金利が低いので、住宅ローンの借り換えをしたほうが後々のためにはよいのかなと考えています。借り換えをしたほうがよいでしょうか?


〈相談者プロフィール〉
・男性、30歳、未婚
・職業:会社員
・手取り世帯月収:20.6万円
・手取り年間ボーナス:70万円
・預貯金:110万円
・無保険(住宅ローン契約時の保険でよいと思っている)


【支出の内訳(20.6万円)】
・住宅ローン:8.2万円
(残期間30年4ヵ月、残高2060万円)
・食費:6万円(うち外食3万円)
・交通費:0.5万円
・水道光熱費:0.8万円
・通信費:0.3万円(格安スマホのみ)
・交際費:1万円
・被服費:2万円
・娯楽費:1万円
・その他:0.8万円


横山: 住宅ローンの支払いが随分と大きな割合を占めています。これでは生活が苦しいのも無理もないかもしれません。改善方法を考えてみましょう。

「収入の4割」を占める住宅ローン

住宅ローンで収入の半分弱を持っていかれると、生活はキツいですね。収入が20万円ほどですから、11万円程度で暮らせないと、貯蓄もできない状態です。ですがその11万円のうち6万円が食費になっているようですから、今までよくやってきたなという印象です。

おそらく、時々赤字になり、ボーナスで補填しながら暮らしてきたのではないかと思います。相談者さんはそんなつもりはないかもしれませんが、貯蓄額が少ないところを見るとボーナスからもあまり貯蓄できていないのでしょうから、ボーナスがなくなる理由が明らかでないのなら、知らず知らずに赤字補てんをしていると考えるのが自然です。

家計における住居費の割合は、20~25%。不動産を購入するときには30%以内などと言われますが、それでは生活費がきつくなるケースが多く、25%以内に抑える方は比較的貯蓄が順調にできている傾向にあると思います。私のところに家計相談にくる方は、そういう方が多いです。ですから相談者さんの場合、まず住居費を下げることを考えましょう。

借り換えは視野に入れてよいと思います。借り換えでメリットがある条件として、以下の3点がよく言われます。

・借入残高が1000万円以上
・借入期間の残りが10年以上
・金利差が1%以上

ただし、最近は借り換えの手数料を下げている金融機関が多く、金利差が0.5%でも借り換えメリットのあるケースが多いようです。一度インターネットのシミュレーションなどで試したり、気になる金融機関で相談してみてもよいと思います。家計における毎月の返済負担割合を3割近くまで抑えられる可能性がありますよ。

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