はじめに

「ディフェンシブ」は何が守備的?

景気敏感銘柄の反対の意味で捉えられることが多いのが「ディフェンシブ銘柄」です。ディフェンシブとは「守備的」という意味ですが、これは業績の浮き沈みが少なく、株価も比較的安定的に推移しやすいことを意味しています。

ディフェンシブ銘柄の代表業種としては、食品や通信、医薬品などが知られています。私たちは、景気が悪くなったとしても食事をしないと生きられませんし、逆に景気が良くなったとしても今までの5倍ご飯を食べるということはありません。

そのため、食品関連の企業の業績は、景気が良くても悪くても比較的安定しており、結果的に株価も安定度が高いということになるのです。

景気が良くなりそうな局面では景気敏感銘柄を選び、悪くなりそうな局面ではディフェンシブ銘柄を選ぶのが、パフォーマンス向上のために良いとされています。

ゴールデンウィーク後の市場の動向は?

それでは最後に、実際にマーケットで「景気敏感銘柄」と「ディフェンシブ銘柄」の使い分けがうまくいくのか、ご紹介します。ゴールデンウィーク中に突如、トランプ大統領が「中国は約束を守っていない」と怒り、関税を引き上げることを発表しました。その後、景気悪化への警戒が強まり、世界的に株価は調整しました。

下表は、ゴールデンウィーク前の4月27日と6月4日の株価を比較した、東証33業種の騰落率です。今は景気が悪くなりそうな局面なので、理論通りであれば、ディフェンシブ銘柄のほうが景気敏感銘柄よりもパフォーマンスが良くなっているはずです。

TOPIX

表の左側が市場の平均であるTOPIX(東証株価指数)のパフォーマンスを上回った業種、右側が下回った業種です。

左側には不動産、陸運、情報・通信、倉庫・運輸関連、サービス、電気・ガスなど、比較的業績の安定度が高そうなディフェンシブ業種が並んでいます。一方、右側にはパフォーマンスの悪いほうから、鉱業や海運業、鉄鋼と、景気敏感銘柄ど真ん中のような業種が並んでいます。

もちろん例外がある場合もありますが、一定程度、景気敏感&ディフェンシブという枠組みがワークすることがご確認いただけたと思います。投資初心者には、そう簡単に手出しできない足元の局面。この両者を組み合わせた投資手法も一考の余地があるのではないでしょうか。

<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>

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