はじめに

必要額を明確にして、貯蓄計画を立てる

ご相談者の場合、現段階では、漠然と老後のために貯めたいということですが、ご主人とどのような生活を実現したいのか、またどんな生活は嫌なのかを話し合うことが大切です。夫婦だと感情面でうまく話せないケースも多いので、その場合は専門家など第三者を入れると効果的です。

いずれにしても、まずは貯蓄の必要性について、お互い共通認識を持ちましょう。その中で、その理想の老後生活のためにはいくら必要なのかなどをシミュレーションして、具体的な金額を定めましょう。

具体的な金額が決まると、次は貯蓄計画です。

「毎月の生活の中で余れば、貯蓄に回しています」という方がいますが、これだと貯まりません。手元にあると使ってしまうのが一般的です。まず先に、必要な貯蓄金額を引いて、それ以外で生活することを心がけましょう。

収入―生活費=貯蓄 ×
収入―貯蓄=生活費 

その際、何かしらを削らないと貯蓄にまわせない可能性もあります。その場合は、家計の見直しをしていきます。

お小遣いを削ってはいけない理由

具体的な貯蓄目標額が決まると、必要に応じて家計の見直しが必要となります。

家計の見直しを考える際、食費や交際費、お小遣いなどをがんばって削って貯蓄を捻出しようとする方が多くいらっしゃいます。しかし、どうでしょう。これらは、普段の生活の楽しみの部分でもあります。がんばって仕事しているのだから、せっかくなら美味しいものを食べたり、趣味を楽しむなどしたいですよね。

人にはそれぞれ生活する中で優先したいことがあると思います。そこを真っ先に削ると、それがストレスとなり、結局長続きしません。目標達成のためには、一時的な貯蓄ではなく、継続性のある貯蓄が重要です。

では、どう見直しをしていけば良いのでしょうか。

家計見直しの順番は、ストレスになりにくいところから

まずは固定費の見直しです。

はじめは家賃です。現在住んでいるところに思い入れやこだわりがないのであれば、少しでも安いところへ引越しをするのもひとつです。住み替えやすさが賃貸のメリットの一つでもあります。引っ越し費用などが一時的にかかりますが、長いスパンで見れば、効果が出てくるところです。将来的に住居をどうするかなどと合わせて考えてみましょう。

次に生命保険や損害保険などの見直しです。ご相談者は現在保険には加入されていないようなので、見直しすることで保険料を削減することはできませんが、逆に何かあった場合の備えとして必要かもしれません。

その次に携帯などの通信費です。こちらもプランの見直しにより、削減できる可能性のある項目ですが、こちらもご相談者はお二人で1.2万円なのでそこまで大きい支出にはなっていませんね。

では、ボーナスからの貯蓄はどうでしょうか。

ボーナスは、各種税金や保険料の支払いか、旅行やまとまった買い物などの楽しみに使われるケースが多いです。特に記載されていないので分からないですが、もし特に使い道が決まっていない部分があれば、ボーナスのうちいくらかは貯蓄に回しましょう。

このように、家計を見直す際には、削ることでストレスになりにくい箇所から考えていくのが重要です。


今回のご相談は老後のための貯蓄とのことでしたが、他にも、住居に関すること、将来の子供に関することなど、老後以外でもお金が必要な場面が出てくる可能性があります。老後はもちろんのこと、それ以外の経済的な目標がないかどうか、もう一度夫婦で確認し、それぞれの優先順位を付けたうえで、計画を立てていきましょう。

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