はじめに

毎月の給料はサラリーマン最大の強み

こうした課題の解決に向けて資産形成していこうとするとき、サラリーマンの強みとは一体何なのでしょうか。私も一介のサラリーマンなので自己分析してみたところ、以下のような特徴があるとわかりました。

1. 毎月給料をもらっている

2. 退職までまだ時間がある

3. コレステロール値が高い

さてこの3つのうち、強みはどれでしょうか。強みなんて何もないと思われるかもしれませんが、1と2は実は大きな強みです。

毎月給料をもらっているということは、定期的な投資資金がいくらかはあるということです。もちろん生活に必要なお金なので全部は投資しませんが、一部は回せるはずです。

2の退職までまだ時間があるというのは、長期投資が可能になることを意味しています。投資は長く続けることで、プラスのリターンを得られる確率を高めることができます。

ピンとこない方は、逆に考えてみるとわかりやすいかもしれません。退職してから資産形成をしようとしても給料が入ってこないわけですから、投資資金を捻出するのは大変です。それに退職後は現役時代に比べれば余命は短くなるので、どれだけの長期投資ができるかわかりません。退職後は資産形成というよりは、むしろ現役時代に積み上げたお金をどう使っていくかが課題なのです。

専門知識を持っていても相場は予測できない

一方、われわれ現役世代の課題は、今受け取っている給料を活用してどのように資産形成していくか、ということです。定期的な投資資金があり、長期投資が可能なサラリーマンの強みを生かす投資手法は「積立投資」。「積立投資」は毎月一定額を投資信託などに投じていくことです。もちろん投資なので元本保証はありませんが、サラリーマンの強みを生かせる「3つのメリット」があります。

1. まとまったお金がなくてもできる

SBI、楽天、マネックス、カブドットコムの大手ネット4社では、500円あるいは1,000円から積立投資できます。銀行ではそこまで小額ではできませんが、1万円もあれば始められます。

2. 手間がかからない

積立投資では一度設定しておけばあとは金融機関で全部やってくれるので何もする必要がありません。忙しいサラリーマンにとっては、この要素は非常に重要です。

なかには「タイミングを見て自分で投資したい」という方もいますが、そうすると今買っていいのか、もっと待ったほうがいいのか、と迷ってしまい、結局積み立てられないということになりかねません。積立投資はそういった迷いを排除して、自動的に実行されるのが大きなメリットです。

3. リスクの分散ができる

お金がある程度貯まってから買えばいいと考える方もいるかもしれませんが、一度に大金を投資するのは高値づかみのリスクが大きくなります。買った後で下落するとどんどん不安になってしまい、「やっぱり投資はこわい」「もうやめよう」ということになってしまいます。積立投資であれば一度に投資する金額は少ないので、こうした心理的な不安もやわらぎます。

むしろ積立投資の場合は同じ金額で買い続けるので、高値のときは自動的に買う量を抑えて、下落している安いときに口数がたくさん買えることになるので、結果的には利益を上げやすくなります。

投資をしたことがない方からの疑問としてもうひとつ多く聞かれるのが、「投資は勉強してから始めるべきですよね?」というご意見です。

投資は受験勉強とは異なります。勉強したからといって、その分成果が上がるとは限りません。株価や為替相場のなど金融市場の相場予想というのは、プロでもなかなか当てられないものです。

たとえば、年末年始になると雑誌や新聞紙上で、エコノミストやアナリストたちが新しい年の日経平均株価を予想しています。これを本当に当たったかどうか年末に検証してみると、だいたい外れているのです。

誤解しないでいただきたいのは、彼らはものすごく勉強して、日々マーケットを分析しています。ですから、その時点で金融市場に何が起こっているのか、それがどういう背景やメカニズムで起こっているのかということに関しては、よく理解しています。私自身も10年以上、エコノミストとして予想を的中させたことも多くありますが、当て続けられたかというとそれはできませんでした。たくさん勉強しましたし、徹夜でレポート書いたこともありましたが、当てることはできても当て続けることは難しいのです。

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