はじめに
高齢世帯の6割は貯蓄額が2,000万円未満
高齢期の経済状況は、当然ながら、これまでの人生をどう過ごしてきたかによって様々です。特に、貯蓄額は、身長などのように平均値を中心に左右対称に分布しているわけではありません。平均貯蓄額は、貯蓄額の多い世帯の影響で分布と比べて大きな値となりがちです。分布は、100万円未満を頂点に、貯蓄額の増加とともに世帯数が減ることが一般的です。
「平成29年家計調査」を見ても、世帯主が60歳以上の二人以上世帯の平均貯蓄額は2,284万円ですが、分布を見ると、100万円未満を頂点にロングテールを描いています(図表5)。このように分布に特徴のあるデータの場合、中央値が1つの参考になりますが、ここでは1,515万円となっています。
なお、図表5を見ると、高齢世帯の平均貯蓄額を下回る2,000万円未満の世帯は6割を超えています。
つまり、「老後資金2,000万円」を保有していない世帯の方が、実は多数派ということになります。