はじめに

中学まで公立、大学は私立文系なら、子ども3人の教育費は最大2700万円程度

仮にご相談者さんのご希望通り、転職して、世帯収入が35万円となった場合、お子さんの教育費については、貯蓄から取り崩すことになります。

では、実際どれくらいの教育費がかかるのかを見ていきましょう。ご相談者さんが転職を希望されているのは2年半後のようですが、仮に2年半後以降に3人とも中学まで公立、高校は私立、大学は私立に進学したと仮定した場合で学費を見積もってみます。

小学校、中学、高校までは、「文部科学省 子どもの学習費調査平成28年度」のデータを使用、大学は、「日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査結果平成30年度」のデータを使用します。

これらのデータを使用して見積もると、ご相談者さんのお見積もり通り、お子さん3人分の教育費は、2700万円程度になります。ちなみに、大学は私立文系で見積もっているので、理系に進学した場合にはさらにかかることになります。

株式などの運用も加味した現状の貯蓄の状況などから考えると、仮に転職後、世帯収入の手取りが35万円となり、お子さんの学費を貯蓄から取り崩しても、よほどの進路変更がない限りは、計算上、生活は成り立つと思います。

一番上のお子さんが大学を卒業する時に、住宅ローンも完済するようですので、住宅費用が大きく減るのも良いですね。学資保険で3人のお子さんの大学入学費用を早期から準備しているのも良いと思います。

ただ、お子さんの教育費が終わった後、気になるのが、ご夫婦の老後費用です。

夫婦2人持ち家を前提とした老後費用はどれくらい?

今年の6月に金融庁が出した報告書によると、私たちの老後の生活費は、公的年金だけでは賄えず、「2000万円足りない」とのことでした。ですから、老後までに2000万円程度は準備しておこうということですが、そもそもこの2000万円の不足額の根拠となるデータは、総務省が出している家計調査報告(2017年)です。

このデータによると、現在60歳以上の夫婦(夫60歳以上、妻65歳以上)の高齢無職世帯では、1ヵ月の平均収入は年金を中心に約20万9000円、支出は約26万4000円。ですから、公的年金だけでは、毎月5万5000円の赤字となります。

最近の統計から日本人の4人に1人は95歳まで生きるとのこと。ですから、一般的な年金支給開始年齢である65歳から30年生きると仮定すると、5万5000円×12ヵ月×30年=約2000万円足りなくなるというわけです。

そして、この2000万円という数字は衣食住の基本生活を送る上で必要なお金で、かつ、持ち家を前提としています。

ご相談者さんは、持ち家ですから、上記のデータに当てはめると、65歳までに夫婦の老後費用として、2000万円程度は準備しておきたいということになります。他にも、持ち家の場合は、家のリフォーム代がかかったり、お子さんがいる場合は、お子さんの結婚などの資金援助をしたりすることなども考慮しておくと良いでしょう。

実際は、このデータをもとに、みなさんそれぞれの事情に合わせて、適正な金額を見積もります。

また、高齢になると病気や介護になるケースも多いので、医療費、介護費用なども考えておきましょう。

ご相談者さんが57歳の時にお子さん3人とも大学を卒業しているので、それからでも安定した収入を得つつ、長く働くことができれば、老後の費用を準備することができます。とはいえ、病気や怪我で働けなくなるリスクなどが降りかかってくるかもしれないですし、臨時費用の発生などもあるかもしれないので、転職後も定期的に貯蓄し、老後の費用も準備していけると良いですね。

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