はじめに
iDeCoにかかる手数料は最低1万9,217円から
いっぽうでiDeCoを行うには手数料がかかります。Aさんが支払う手数料についてシミュレーションを行いました。
気をつけたいのは、iDeCoにかかる手数料は金融機関によって異なることです。AさんがiDeCoの説明を聞いた金融機関は比較的手数料が高かったのかもしれません。手数料は以下の通りです。2019年10月より消費税が10%になり手数料も変更となっています。
※金融機関により加入時や毎月の口座管理等にかかる手数料は異なります
Aさんが53歳から60歳までの7年間、毎月掛け金を拠出した場合にかかる手数料は最低で1万7,193円(2,829円+171円×84ヶ月<7年>)です。なお、Aさんの場合、60歳以降にも手数料がかかります。というのも50歳以降にiDeCoを始める人は60歳時点での加入期間が10年未満となります。そのため、老齢給付として受け取るには所定の年齢まで待機する必要が出てきます。
待機期間にも運用は継続することになるので口座管理手数料がかかるのです。この手数料は月あたり最低66円からで金融機関によって異なります。Aさんの加入期間は7年になるので62歳から受給可能です。2年間で支払う手数料は最低1,584円(66円×24ヶ月)、さらに給付の都度、最低440円の手数料がかかります。
60歳時点での通算加入者等期間 | 受け取り開始可能年齢 |
---|---|
10年以上加入 | 60歳 |
8年以上~10年未満 | 61歳 |
6年以上~8年未満 | 62歳 |
4年以上~6年未満 | 63歳 |
2年以上~4年未満 | 64歳 |
1カ月以上~2年未満 | 65歳 |
※通算加入者等期間:個人型/企業型の確定拠出年金における加入者運用指図者(掛け金を拠出せず運用だけを行う)の期間の合算
手数料を引いても約28万円の税金軽減に
Aさんが62歳に一括で給付を受けた場合、手数料総額は最低1万9,217円ということで、91,000円+217,000円から19,217円を引いて、実質の税金軽減額は28万8,783円 になります。つまり元本193万2,000円に税金軽減額を加えると222万783円 の総資産額になるのですから、iDeCoに加入するメリットは十分あると言えるのではないでしょうか。
最後になりますが、iDeCo加入のメリットを大きくするためには手数料の低い金融機関を選ぶことと、軽減された税金は生活費に紛れないように気をつけることです。特に住民税については還付ではなく給与から天引きになります。
翌年6月の給与から軽減された住民税が天引きされるので、手取りが少し増えたと思うくらいで紛れてしまう可能性があります。ですから、税金軽減額についてもしっかりと管理して老後の備えに回すようにしましょう。