はじめに
成長株はどうやって探す?
――成長力のある株はどのように見つけたのですか?
どのような投資方法が自分に向いているか考えているときに思い出したのが、米国の伝説的なファンドマネージャーピーター・リンチが書いた「ピーター・リンチの株で勝つ」という本でした。たまたまドケチ生活をしていたときに読んだのですが、「古い投資法かな」と、その頃はあまり共感しなかったのですが、株式投資をある程度経験してから、改めて読み返すと、「これだ!」と確信しました。
――どのような理論なのですか?
ピーター・リンチは「誰もが目を背けるような不人気な業種」や「自分の身近にある会社」の銘柄を買えと言っています。
今でいえばAIやロボットなど輝かしいイメージの企業の株が人気になりやすい一方で、まったく見向きもされない業種の株は安いまま放置されていますが、業績が悪いかといえばそうではない。
――なるほど。人が見向きもしない銘柄とはたとえばどのような業種ですか?
私が買った銘柄では葬儀会社の「ティア」がありました。葬儀会社はイメージはいたって地味ですが、高齢化で需要が見込めるし、景気に左右されない。買ったのはリーマン・ショック後の2009年頃でしたが、映画「おくりびと」の話題にも乗って株価は大きく上昇しました。リーマン・ショック後で、日本を代表するトヨタの株が値下がりしていましたが、葬儀会社の株で儲けることができました。
――「自分の身近にある会社」とはたとえばどのような会社ですか?
自分の日常生活や趣味にかかわる会社の中に意外な大化け株があります。外食産業で何かピーター・リンチ理論にあてはなる会社はないかと探していたときに見つけたのが、いつも利用していたかつ丼チェーン「かつや」でした。
サラリーマンは本当にかつ丼が好き。「かつや」はそのかつ丼を低価格で提供していました。観察すると、おっさんのサラリーマンがどんどん入ってきて回転率がすごくいい。調べてみると運営しているのは「アークランドサービスホールディングス」という上場企業。オートフライヤーで合理化することで安い料金を実現し、なおかつ人が調理した味に近づける努力をしていることもわかりました。業績が伸びているのに株価はすごく割安。「これはいい! ついに見つけたぞ」と勝負をかけました。2008年に購入した株は4年後、20倍になりました。
――それはすごいですね。外食産業は飽和状態と言われますが、大化けする株が身近に潜んでいるんですね。
外食産業のように全体的にはダメだと思われている業種から伸びている株を探せばチャンスがあります。ピーター・リンチは「砂漠の中の一輪の花」と言っています。