はじめに

最近、芸能人の薬物依存の話が世をにぎわせています。

なぜダメだと知っていてもやめられないのでしょうか。

脳のメカニズムから読み解いてみると、依存症を引き起こす報酬系回路には、マイナス面だけではなく、私たちを成長させるプラス面も併せ持っていることが分かります。


プラスにもマイナスにもなる脳の報酬系回路=リワードシステムとは

脳は心地良い刺激があると、それを再度求める機能があります。心地良い刺激も様々あり、たとえば「難易度の高い仕事を達成した時」、その満足感が「期待以上だった時」、同じような心地良さを再度求めようとすると、仕事へのモチベーションが高まり、健全な方向に導きます。

一方、それが麻薬など依存性の高いものの場合、一度快楽や快感といった短絡的な心地よさを知った脳は、再度それを求めようとし、依存症を作ってしまいます。

言い換えれば人間がより高みを目指す時に必要な脳の回路が、下手をすると自分を破滅させる回路になってしまうことがあるということです。

このような「心地良い刺激」が起きた時に活性化し、ポジティブ感情の中枢である"幸福感やエクスタシー"を感じさせる神経回路のことを「報酬系=リワードシステム」と呼びます。

脳がリワード(報酬)を期待した時、ドーパミンという神経伝達物質が快楽刺激で活性化された部位から出され、快感を感じさせる脳の機能を刺激すると言われています。

そこで、この脳のメカニズムをうまく使いこなすことでリワードシステムを活性化し、更なる高みを作るサイクルを身につけて頂きたいと思います。

コツコツと続ける精神が決め手になる天国と地獄の分かれ道

「人は快楽を感じた後、またそれを得たいと思うことで、生命維持をしている」という生物学的解釈があります。たとえば、食べたい食べ物を得られた時、満腹感と幸福感が出てきます。その後、再び食べ物を得ようとすることで生命は維持されます。

また、性交をした時、エクスタシーや満足感を感じ、その心地良さを求めることで子孫繁栄が期待されます。このように報酬系は、生命を維持させるために動物に備わった機能ですが、人間の場合、報酬系は、より高次的な出来事でも機能すると考えられています。

私は、報酬系には、コツコツ行う長期的な報酬系と短絡的な短期の報酬系があると思います。

長期的な報酬系とは、気持ちをこめてコツコツ行っていたことで成果がでて、すごく嬉しいという気分になったり、その事で期待以上に他者が喜んでくれた時に機能する報酬系を意味します。仕事も恋愛もその1つかもしれません。

たとえば、相手を励ますために自分が忙しい時でも思いやりのある声かけをした事で、相手の気持ちが予想以上に盛り上がって、感謝された時。

また難しい仕事を達成させるためにコツコツと調べ物をしたり、鍛錬したり、周囲との情報共有を深めたりした結果、一人ではなしえなかった成果が出た時。

そのような時に何かをなし得る幸せを知り、再度大きな案件に仲間と共にトライしようとしたりします。

このようなポジティブで前向きな幸福感をもたらす報酬系サイクルは、人間にのみ備わった高次元の報酬系であり、自分や周囲もビックスマイルにする、とても良い脳の機能だと思っています。

一方、短絡的な短期の報酬系とは、麻薬、アルコール、スマホ、ギャンブル、ゲームなどが挙げられます。依存症のメカニズムそのものですが、たとえばスマホ。電車の中でもトイレの中でも夜寝る前でも、スマホからの情報刺激が楽しく手放せなくなる。最終的には学校や仕事にも行けなくなり、部屋にこもり、スマホを眺め、食事もとらず、睡眠もとらず、身体と心が崩壊するケースもあります。

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