はじめに
銘柄ごとのクセをつかむ
――何かノウハウを見つけたのですか?
初めて勝てたのは、板を見ていてある銘柄の動きに特徴があると気が付いたからです。
今の銘柄は1ティック1円とか10円ですが、当時100万円台の銘柄は1万円単位だったんですよ。たとえば株価100万円の銘柄だと、買い板は次が98万円、95万円、売り板は106万円、110万円で並んでいます。
板はスカスカで売買が成立するのかと見ていたら、たまに106万円がパッと買われていたんですね。安くはなくても商いが薄いから、買いたい人は上を買うしかない。2~3日に1回しか約定しないけど、それでも買う人がいることがわかりました。
そこで100万円で買い注文を出して買えたら、今度は売り板の106万円に置いて売り注文を出したら106万円で買ってくれる人がいるんです。3日かかっても1日あたり2万円の収益です。全然約定しない日もあればボコッといくつも約定する日もあって利益をつかみました。自分なりの初めての攻略法でしたが、月にせいぜい10万円、20万円をかせぐのが限界。それでもデビュー当時は負けないこと、プラスにすることが一番大事だったので、そこに行きつきました。
――株で勝つには自分なりの攻略パターンを見つけることが必要なんですね。
そうです。結局、株取引で勝つには、人よりもマーケットや銘柄についての知識や動き、クセをよく知っていること、優位性のあるところに資金をはり続けるしかありません。初期の頃は、優位性をもてる場面や攻略法がないかと探し回っていました。
――デイトレードのコツは? やはり値動きの大きい銘柄を追いかけるのですか。
もちろん、デイトレードでは株価が大きく動いてくれないと困ります。
たとえばA社で何か事件が起きた時、良くも悪くも決算でサプライズが起きたときには、出来高を伴って上か下へ大きく動くと同時にA社を保有する投資家が大きく入れ替わります。
結果として、それまでA社を見ていた投資家の優位性はなくなり、全員が新しいプレーヤーになります。その日から誰よりもA社のことをウォッチしつづければ、自分がいちばん値動きの特徴を知っている存在になるので、どんどん優位な立場で売買ができるようになります。
フワッとした気持ちで参加する人は、その場その場の値段や板、チャートの動きだけを見て判断していますが、銘柄によっては、それだけではわからないクセがあるんですよ。それをつかむことを考えながらいつも取引をしていました。