はじめに
「白い巨塔」時代に外科医を志し、激務で知られる心臓外科医になったものの、「新研修医制度」「新専門医制度」などの制度変更や、表面的な「働き方改革」で燃え尽きた、園田先生のお財布と人生を前回は紹介しました。
今回は、北関東のE県立病院心臓外科を辞めて、都内の美容外科クリニックに転職した後編をご紹介します。
※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
園田誠一郎先生(仮名):42才、北関東の国立E医大出身、東京都港区の美容外科副院長、病院近くのマンションに一人暮らし、前妻の元に子ども一人
【平均的な月収:税引き前】
病院からの本給 約150万円
売り上げ連動ボーナス 200~300万円
当直 1回10~20万円×6回
【支出】
・住居費・光熱費・通信費:病院支給
・食費(デート相手分も含む):30~50万円
・車両費:(病院支給)
・書籍・学会費:病院支給
・養育費:25~30万円
【資産】
不動産:なし
車:ポルシェ パナメーラS(法人契約)
預貯金・株式・投資信託:約3,000万円
「有休消化」を強要された「その後」
深刻な医師不足のE県立病院心臓外科で、「有給休暇消化率90%以上」を達成するために「有休を申請して、出勤すれば」と院長に提案された園田先生ですが、院長面談の直後から頭痛と吐き気が激しく、歩けなくなってしまいました。同期の心療内科医に診断書を書いてもらい、2週間ほど病院を離れて静養することになりました。
東京都内の実家で静養中に何げなく医師転職サイトに登録したところ、その日のうちにエージェントから電話が入り、いくつかの転職先を紹介されました。翌日にはF美容外科でトライアル勤務がオファーされ、興味本位に受けてみることにしました。