はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する内藤忍氏がお答えします。

3人目の子供を作るかどうかで悩んでいます。現在の仕事は残業がほとんどなく、収入的に少々不安です。去年の世帯の収入は、額面で570万円。貯金がある程度あるので、将来のためには定期預金だけでなく株などもした方がよいのでしょうか? アドバイスをよろしくお願いします。

【1】収入と支出
世帯収入:570万円(月の手取り:30万円・妻は専業主婦)
支出:食費7万円、教育費5万円、交通費2万円、光熱費2万円、通信費2.5万円、生命保険2.5万円、娯楽・交際費4万円、日用品・衣料費1万円、医療費1万円、財形貯蓄3万円
【2】今後の収入・支出
今後の収入:一般企業の賃金カーブで昇給予定
特別な支出:長女8歳と長男4歳の大学までの学費、車の買い替え(ミニバン、軽)
【3】現在の資産
預金750万円、国債100万円、学資保険(払込済)150万円、自社株40万円
【4】老後資金(60歳時点の予定)
確定拠出年金2,000万円(会社負担2.4万円/月、自己負担1万円/月)、個人年金480万円(10万円/年払)
【5】現在の負債
特になし、持家・自動車2台は完済しています。
【6】保険契約
生命保険(本人、妻)火災保険、地震保険、自動車保険
(男性、38歳、既婚、子供2人)


内藤: ご質問ありがとうございます。まずご質問者の方が、現状の生活パターンからさらに資産を増やす方法について、考えてみましょう。

「お金の方程式」に則って資産を増やす

「お金の方程式」というものがあります。将来の資産は、3つの方法によって決まってしまうという資産運用の基本です。その3つとは以下になります。

1:収入を増やす
2:支出を減らす
3:資産運用で増やす

まず、収入を増やす方法を考えてみましょう。「収入=時給×労働時間」ですから、収入を増やすためには時給を上げるか、もしくは労働時間を増やすしかありません。残業や休日の労働はなるべくしたくないでしょうから、収入アップのためには、時給を上げることが現実的となります。

時給を上げるためには、自分の能力を他の人にはできない差別化されたものにする必要があります。現状されているお仕事に、必要な知識や技術を追加することによって、キャリアアップできないかを考えてみましょう。

現状のお仕事の延長線上にあって、世の中のニーズに合った、希少性のある仕事を戦略的に見つけることが大切です。

2つ目の支出を減らすためは、単純な節約術ではなく、メリハリと戦略が必要です。

例えば、毎日のスターバックスを我慢するといった小さな積み重ねではなく、支出額の大きなものを重点的に見直すことがポイントです。

一般に大きな支出というと、住宅・保険・教育の3つがあげられます。ご相談者の方の場合、保険や車の支出などが見直し対象になると思います。

特に保険は、必要のないものを解約すれば、大きな効果があります。その際は、無料の見直し窓口に行くのではなく、保険会社の代理店になっていない、保険の専門家に有料で相談することをおすすめいたします。

資産運用は長期目線で堅実に

3つ目の資産運用で増やすことも大切です。ご相談者の方は、すでにご自身の資産を1,000万円程度お持ちで、ほかに確定拠出年金の積み立てもあります。

そのため、これらの資産をどのように活用するかによって、将来の資産額に大きな差が出てきます。

資産運用で大切なのは、長期の視点を持つことと、コストを意識することです。銘柄選択や投資のタイミングを考えることよりも、資産配分を重視し、インデックス運用で積立をしていく堅実な方法がよいと思います。

まず、確定拠出年金も含めて、すべての資産の状況を把握して、その資産全体で、どのように資産配分するかを考えていくようなアプローチで進めます。

書籍を読んで勉強してもよいですが、実際にどのように進めたらよいかがわからなければ、ファイナンシャルプランナーに相談して、具体的なアセットアロケーションをアドバイスしてもらうのがよいでしょう。

その際には保険やローンの専門家ではなく、資産運用に関する金融知識と経験のある人を選ぶようにしましょう。

3つの方法でこれからのお金との付き合い方を見直してみて、その上で、お子さんのことを考えてみてはいかがでしょうか。

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