はじめに

2019年11月17日、お金に関連したあらゆることが学べる、年に1度のイベント「お金のEXPO2019」が開催されました。今後のマーケット見通しや、資産形成のノウハウ、不動産投資など盛りだくさんの内容となった同イベント。

その中から、日本ホールディングスの八尾浩之氏による「誰も知らない 京都不動産投資の魅力」の講演内容をお届けします。

11階以上のマンション建てられない

このエリアの建築制限についてと、需要と供給の関係、最新の不動産事情について順番にお話させていただきます。

京都市の景観政策には、基本コンセプトがあります。これは、50年後、100年後の京都の将来を見据えた、歴史都市・京都の景観づくり、眺望・景観を先々まで守っていこうということで、今から10年前に新景観政策というのが施行されました。

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どういった内容かというと、新景観政策には2つの規制があります。1つは、建物の高さを厳しく制限する。2つ目は、建物のデザインを規制する。この2つが大きく規制されている点になります。

高さ規制については、世界遺産に登録されている14社寺を含む38ヵ所の指定場所があります。そこからの眺望・景観を保全するために、境内や庭園、水辺など、8種に分けた視点場を設け、そこからの眺めを阻害する建築物の高さや、デザインを規制することになっています。

その中の1つとして、「大文字(だいもんじ)」が鴨川沿いの視点場から、見えないといけないエリアがあります。

そのエリアで建物を建てる場合、「高さ規制的にこの高さが建ったとしても、大文字が見えなくなるのであれば、建ててはいけない」といった規制がかかっているところがあります。

本願寺や、二条城などの境内や庭園から見たとき、あまり近くに近代的な建物が見えると良くないということで、「近くに建てる場合は、建物の高さを下げてください」といったことを、市と協議しなければなりません。

二条城の近くで土地の情報があり検討しましたが、5階まで高さ規制はクリアするのですが、3階建てにしてくださいとの指導がありました。商品化はできないと断念したのですが、そのような場所が京都の中心部はかなり多いです。

京都は全体の高さ規制が非常に厳しいです。平成19年までは、45メートルというものがありましたが廃止され、現在、京都で建てられる一番高い建物は、31メートルが最高です。

マンションのワンフロアの高さは、3メートルほどあれば余裕があります。31メートルでは、10階から11階ほどの高さが、京都の中では最高です。以前の建物で、14~15階の建物がありますが、今は建てることができません。

31メートルが建つところはあまりありません。建つ場所は、京都駅の周辺と、交差点を中心とした、京都の田の字地区と呼ばれる四条烏丸などです。

一番人気が高い場所で、このあたりの大きな道路沿いだけは31メートルを建てることができます。つまり、31メートルが建つところは少なく、15メートルが非常に多いです。

平成19年以前と比べ、高さ規制が最も変わった場所は、この田の字地区です。以前は31メートルが建ちましたが、現在は、15メートルになっており、大体5階建ての建物しか京都の中心部は建たなくなっています。

一部には、20メートルや25メートルというエリアがあり、20メートルほどであれば、7階建てほどです。25メートルで9階建てが建つ場所もありますが、基本的には5階建て規制のエリアが、新景観政策ができて以降、最も多くなっています。

これはほかの地域と比べ、厳しい規制となっています。

鴨川沿いは屋根が必要

デザイン関係は、色と形が制限されています。色としては、例えばローソンや、マクドナルド。青や赤、黄色といった色を使っていますが、「京都市内ではグレーや、白に近い色してください」といった色の規制があり、街並みと調和していくことになっています。

私どもが建てるマンションでもグレーに近い色や、薄い色が多く、明るい色を使っている物件は少ないです。

私どもが建てた物件「ベラジオ京都鴨川II」は、平成19年以降に建築しています。川床は鴨川沿いであり、古い家がたくさん並んでいる場所になります。ここで建てる場合、近代的な建物ではなく、和風につくってくださいということで、マンションでありながらも、上に屋根をつけています。

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もともと高さが15メートル規制の場所の場合、基本的には5階建てが建ちますが、屋根をつけたことで屋根の勾配の影響により、5階部分がなくなっています。

さらに、屋根が出てくるため、建物が60センチ中へ入ることになります。正面から見ても、横の部分が60センチずつ出ているため、1メートル20センチ小さくなることになります。

平成19年までに建てた建物は5階建てで上が平らになっています。また、屋根の規制がなかったので、建物も60センチ後退していることもありません。

平成19年以降に建てる場合は、屋根をつけることで1階分低くなっていることや、60センチ後退することで、同じ建物を建てても戸数が減るという形になっています。

京都市では、京町家の保全にとても力を入れています。京町家は、年間800戸ほど減少しており、現在では4万戸ほどしかなくなっています。

できるだけ守っていくために、京都市では町家を解体する場合、届け出制を敷いています。届け出をすることで、解体せずに利用するなどの提案を行っています。