はじめに

2019年11月17日、お金に関連したあらゆることが学べる、年に1度のイベント「お金のEXPO2019」が開催されました。今後のマーケット見通しや、資産形成のノウハウ、不動産投資をテーマにした講演など盛りだくさんの内容となった同イベント。

その中から、クレア・ライフ・パートナーズ 工藤 将太郎氏による「個人投資家が絶対に知っておくべき、最強の多極分散戦略!」の講演内容をお届けします。

「3年間で3倍」の難しさ

次のお客さまの例は、独身男性のBさん、34歳で年収が800万円、貯金が300万円という方です。テレビで老後2,000万円問題を見て不安になったといいます。

将来対策は、会社に入ったときに先輩に勧められ、生命保険の営業を受けて入っただけでした。同期は1,000万円ほど貯金があると聞き、焦っているといいます。

3年後には、現在の彼女と結婚したいため、300万円の貯金を使い、1,000万円まで増やせないか、ご相談にいらっしゃいました。

3年間で300万円を1,000万円にするのは、非常に困難です。毎年利回り49%が必要となります。大きく上昇した例として、リーマン・ショック以降の10年間で、アメリカのS&P500でさえ、平均リターン(10年)が11.15%です。

さらに、このS&P500は約11.5%の平均リターンですが、リスク率は約13%です。、100万円投資すると、111万円になることもありますし、13万円なくなるということもあるわけです。

そうすると、この利回り49%の利回りに対して取らなきゃいけないリスクというのは、とても大きなものになる。つまり、イチかバチかのギャンブルになってしまうことが分かると思います。

資産形成の方法はたった2つ

「お金をためる」「資産を形成する」これは2つの方法しかありません。1つ目は、収入を上げる行為です。もっと働き、副業をして、投資もすることで増やす、といった性質の話です。

もう1つは「支出を減らす」。日々の無駄遣いを削る、節税を行うなど。どちらが簡単かというと、支出を減らすほうがコントロールが利くわけです。

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家計簿を3カ月徹底的につける方もいます。企業で言えば、会計処理が必ずあるわけですが、ご家庭にないのは、個人的には少しおかしいと思います。今回は、自分の財務状況を知ることからスタートしました。

浪費がないか、消費の中で減らせるものはないか、という無駄の見直しをして、貯金の300万を使って投資をするのではなく、日々のキャッシュフローが浮くように、設計していきました。

入社したときから入っていた保険ですが、何に入っているか分からない、そういう方は多くいらっしゃいます。保険の見直しをするとき、保険だけの比較をしてしまうと、大きな効果が出ないこともあります。

勤め先の就業規則を見てください。就業規則の中には、退職金制度であったり、団体保険といって、その企業に勤めているから入れる、非常に安い保険があります。保険の見直しの中には、こういうことを含めていきました。

そして、投資をする場合、商品の選定においても考慮するポイントがあります。個人の方でも節税はできます。ポイントとしては2つ。払った税金を取り戻す行為。もう1つは、資産運用等で増えた収益に、本来かかってくるはずの税金をなくしていくという節税です。

こういった節税を意識した商品選びを行いました。増やすためにリスクの高い商品を選ぶのではなく、支出を削るという点で、投資商品を選んでいきました。ご自身の無駄だけではなく、払っていた税金も戻ってきて、投資の財源が捻出できることになりました。

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この方は、300万円を1,000万円にするために3年間ギャンブル的な投資をするという選択をする前に、まず支出を見直しました。年収が800万円あったので、月7万円の見直しをしていただきました。

3年間で252万円の効果、生命保険も月3万円を見直すことで、3年間で108万円の効果、iDeCoを活用することによって、年間8万円以上浮くため25万円の投下。そして不動産投資。老後のためにやっていたのですが、3年間で165万。支出の削減だけで550万です。

そして、生命保険の見直しで戻ってきた解約返戻金が120万、現在の貯金額300万を足つことで980万円。3年間、支出のコントロールをするだけで、見通しが立ちました。「投資をして利益を出す」「自分の資産を増やす」この違いを理解し正しい選択をして頂きたいと思います。

投資をしてうまくいったという経験が欲しい方は、投資が必要ですが、「お金をためたい」「資産を築きたい」という方は、支出を削減するアプローチを取り入れてみてほしいと思います。