はじめに

1億円~8000万円程度の「理想に近いマイホーム」を手に入れるには?

まず、住宅資金についてです。

住宅を購入するためには、原則、頭金として物件価格の2割、その上、税金やローン保証料、各種保険料などの諸費用もありますので、自己資金として物件価格の3割を準備しておきたいところです。ご相談者のご希望は、「1億円~8000万円程度」ということですから、2400~3000万円の住宅購入資金を購入時期までに準備しておく必要があります。

ただし、現在のところ年間500万円は貯蓄できているのであれば、すでに手持ちの預貯金1200万円と合わせ、前記の住宅購入資金を数年で準備するのも不可能ではないでしょう。問題は、購入時期です。数年後、日本に帰国した際なのか、その後も海外駐在が続くことを考えて、子どもが小学校や中学校に進学するタイミングなのかによって、上記の必要時期が変わってくるからです。

では、具体的に、どれだけ借りられるのかについて考えてみましょう。

海外駐在ファミリーの場合、子どもが小さい間は家族も同行し、子どもが成長すると進学に合わせて、日本でマイホームを購入。夫は単身で海外赴任するというケースが多いように感じます。

ご相談者の場合、子どもが中学から私立に進学となれば、小学校3~4年から帰国し、中学受験に備えることを想定し、例えば、今から10年後、ご相談者が38歳の時に、物件価格1億円、自己資金3000万円、住宅ローン7000万円で購入するとします。

住宅ローン7000万円を30年返済、金利1.21%、元利均等返済で借りた場合、毎月の返済額は23.2万円、総返済額8351万円になります。年間のローン返済額は278.4万円です。となると、手取り月収60万円に占める毎月の住宅ローンの返済負担率は約38.7%にものぼることに。

手取り年収ベースでは、約27.3%ですが、ボーナスは業績次第で変動する可能性があるので、長期の返済プランを立てる住宅ローンの場合、最初からアテにしない方が無難です(適正範囲は25%~30%。年収によって異なります)。

“無理なく払える借入額”から物件価格の目安を試算する

そこで、無理のない毎月返済額から借入額を試算してみる方法もあります。これは、現在の家賃や住宅購入のために積み立てしていた金額から、購入後の維持費(駐車場、管理費、修繕積立金など)を差し引いて求めます。

ご相談者の場合、家賃ゼロですので、毎月の貯蓄額20万円をベースに考えます。ここから購入後の維持費として8万円(物件価格が高いので、維持費も高めに設定してあります)を差し引くと、無理なく払える毎月返済額は12万円です。

先ほどと同じく、30年返済、金利1.21%、元利均等返済で借りた場合、借入可能額は3621万円となりました。これに用意できる自己資金を加えた額が、購入可能な物件価格の目安となります。1億円の物件であれば、6379万円の自己資金が必要であり、この資金が貯まったときが購入のタイミングとなるわけです。

なお、返済期間を最長35年までに延ばしたり、もっと低い金利で住宅ローンを組んだりすれば、借入可能額は増えます。大企業の会社員で年収も高いとなれば、銀行も喜んで融資してくれるでしょう。

しかし、高収入世帯が無理に多額の住宅ローンを組み、病気やリストラ、収入減などで、家計が破たんするケースは少なくありません。購入後、住まいが新しく大きくなれば、光熱費や交際費も増えますし、家具や調度品もそれ相応のものが欲しくなり、家計は膨らむばかりです。優先したいのが、希望の物件なのか、購入の時期なのか、よくご家族で話し合いましょう。

ちなみに、マイホームの購入年齢の平均は30代後半から40代前半です。購入時点で、すでに子どもが中学生、高校生の場合、大学や就職を機に独立してしまい、大きな住まいが必要な期間は意外に短いことも考えられます。ご相談者の夫が、海外駐在の可能性もあって、一緒に住まない期間があるのであればなおさらです。

現役時代は、賃貸でお金を貯め、リタイア直前に、キャッシュで終の棲家を購入するというのも一手ですよ。