はじめに
私立に進学予定の子どもの教育資金の考え方は?
続いて、子どもの教育資金の考え方についてです。教育資金設計は、以下の3ステップで行います。
(1)希望(予定)の進学コースの確認
(2)これまでの準備状況を確認
(3)不足分を試算して準備方法を検討する
ご相談者は、「3人の子どもを中学から私立に通わせたい」というご希望ですので、それぞれ費用を見積もってみましょう。
子どもの教育費は、小学校が公立で、それ以外の幼稚園と中学校、高校、大学が私立の場合、一人当たり約1700万円かかります(※私立大学理系の場合は約138万円上乗せ)。一人当たり約1700万円となると、3人分で5100~5514万円となります。
もちろん、これが一度に必要になるわけではありません。
教育資金は、高校まで公立であれば、一人当たり300~500万円を目標にして貯めます。というのも、大学進学後の教育費負担が最も重くなるからです。私立であれば年間150~200万円かかりますので、ご相談者の場合、高校卒業までに3人分として1500万円(500万円×3人)を準備しておく必要があります。
しかも、中学から私立の場合、かかる教育費を家計の範囲内でやりくりしなければなりません。そうなると、第一子が中学に入って以降、住宅ローンの負担も抱えながら、夫一人の収入で子ども3人分の教育費や生活費をまかなうのは難しいと思います。
なお、大学などの高等教育の無償化制度が2020年4月1日からスタートします。これ以外にも、2010年から、公立高等学校などの授業料を無償化し、私立高等学校などに就学支援金を支給して授業料の負担を軽減させる「高校授業料無償化・就学支援金支給制度」が実施されています。ただし、これらの制度は親の所得の上限が定められているため、ご相談者のように、年収が高い世帯は対象外となります。
ただし、2019年10月からの、「幼児教育・保育無償化」(3~5歳を対象に幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料を無償化)は年収等に関係ないので利用できるでしょう。
※出所:日本政策金融公庫「平成29年度教育費不安の実地調査結果」、文部科学省「平成28年度子供の学習教育費調査」「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果」、日本学生支援機構「平成28年度 学生生活調査結果」(昼間部)
希望を叶えるための3つの方法は?
以上を踏まえて、「3人の子どもを中学から私立に通わせ、理想に近い住宅(1億~8000万円程度)を購入したい」という希望を実現させる方法としては、以下の3つをすべて実行することです。
【2】ご相談者の夫はできるだけ長く安定して働く
【3】ご相談者も早く社会復帰して働く(正社員でなくとも、在宅ワークなども視野に入れる)
要するに、収入を増やして、支出を減らすということ。
いずれにせよ、収入が高いご家庭に共通しているのが、収入の増加とともに、生活のレベルも上がって、家計全体が膨らんでいる、かつ、収入が減少しても、いったん緩んだ家計を元に戻すのは非常に難しいという点でしょうか。
逆に、貯めているご家庭は、収入が上がっても、生活レベルは上げない。支出に優先順位やメリハリをつけて、ストレスがたまらないように工夫されています。
ご相談者は、収入があるのに、「チマチマ節約するのはちょっと……」とお考えになるかもしれませんが、まだ20代と若い時期から備えておくと、40代後半から50代にかけて大きく差が開いてくるはずです。そのときに後悔しないように、早めの準備が肝心です。
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