はじめに

投資にまわすのは「老後に使うお金」、リスクを調節して

そして、投資にまわすのは基本的に老後に使うお金と考えていますので、現在は次のような内訳になっていると考えることができます。

<老後に使うお金:1232万円>
安全資産(無リスク資産): 815万円
運用資産(リスク資産): 417万円

つまり、老後に使うお金のうち、約34%をリスク資産で運用しているというわけです。もう少し積極的にということでしたら、この割合を例えば50%などと少し引き上げてみてはいかがでしょうか。

このような形で整理しながら、リスク量を調節していっていただければと思います。

お金について整理できたところで、投資をしていくにあたっての注意点からご説明させていただきます。

「投資」と「投機」の違いをしっかり理解して

筆者が考える投資とは、投資対象資産が何らかの価値を生み出し続けるものにお金を投じ、その結果、長期的には資産価値が積み上がっていくことで投資家としてリターンを得ることができるもの、と考えています。

図にすると次のようなイメージで、具体的な資産としては株式や不動産が代表的なものになります。

グラフ1

一方、筆者が考える投機とは、対象資産が何ら価値を生み出すことはないものにお金を投じ、価格の変動に応じて売買を繰り返すような行為だと考えています。次の図のようなイメージです。

グラフ2

具体的な資産としては、貴金属や原油といったコモディティと呼ばれるものが代表的です。

どちらの場合も、資産価格は資産価値のまわりを行ったり来たりと変動するのですが、資産価値が年に数パーセントであっても右肩上がりに積み上がっていくものと、一切変わらないものという違いがあります。この違いは、10年、20年もしくはもっと長期の時間で考えると大きな差となってきます。

現在取り組まれている投資の中では、株式を対象にした投資信託(つみたてNISAや確定拠出年金)が投資であり、FXは投機に近いものと考えられます。

おすすめは長期・分散・積立投資でじっくり、しっかり

今後、長期的に資産形成されていくことを考えると、おすすめは長期・分散・積立投資です。

具体的には、世界の株式に幅広く分散投資できるインデックスファンドを中心に保有していくことをおすすめします。現在は、日本株式や米国株投資信託が中心になっているようですので、より幅広く先進国や新興国に分散投資していくことを意識されるとよいかと思います。

最近は、先進国や新興国を含む世界株式に1本で分散投資ができ、運用管理費用が非常に低い(0.1%程度)インデックスファンドが登場していますので、そういったファンドをコアとして選びつつ、ご自身のお考えに沿って追加的に米国株式や日本株式の割合を調整してみてはいかがでしょうか。


以上、ポイントをまとめますと以下のようになります。

1. お金を4つに分けて整理した上で、運用資産にどのくらいまわしていくか、考えていきましょう。

2. 投資と投機の違いを理解して、投資対象として適切な資産にお金を投じていきましょう。

3. 具体的な投資対象としては世界の株式に幅広く分散投資できるインデックスファンドを中心に、長期・分散・積立投資というスタイルがおすすめです。

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