はじめに

全額負担するITプラットフォーマーも

急速にデジタル化が進む中国では、ITプラットフォーマーによるネット医療保障の提供が急速に拡大しています。このようなネット医療保障は、自社のユーザーや会員向けの互助サービスと位置づけられており、中国では保険商品に分類されていません。

たとえば、アリババグループ傘下のアント・フィナンシャルが運営するネット医療保障「相互宝」(シャン・フ・バオ)は、新型コロナによって会員が死亡した場合、59歳までは10万元(160万円)、60~70歳については5万元(80万円)を給付しています。

相互宝そのものは、重大疾病を保障し、給付総額と管理費を加入者全員で割り勘して給付する仕組み。しかし、今回の新型コロナによる給付金については、運営会社であるアント・フィナンシャルが全額負担し、加入者による負担はありません。

このように、中国では新型コロナに際して、公的医療保険のみならず、民間保険、さら更にはネット医療保障など、保険分野においても多層的な支援事業が実施されています。

上掲のような特別措置により、医療費の支払いが困難であるがために感染を拡大させてしまうといった事態は、今回の新型コロナではおおむね避けることができたのではないかと思います。

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