はじめに

住居費以外に必要な老後の生活費は?

現在は転勤が多く、色々な地域に住んでいるようですので、リタイアまでに老後住むにあたって理想のエリアが見つかれば、そこで検討することになると思います。都会に住む選択肢は考えられないということですので、今よりも生活費が高くなることはあまり考えられないでしょう。

現在の住居費以外の生活費が月々約20万円です。公的年金が月23万円受け取れるのであれば、年金の範囲内でも十分生活できることになります。今よりもゆとりを持たせて、月30万円で考えたとしても、企業年金がある10年間は資産を取り崩すことなく生活できます。

10年経過後75歳から、生活費月30万円で、仮に100歳まで生きると仮定すると、公的年金との差額の月7万円×12ヵ月×25年=2100万円となります。すなわち、住居費以外に2100万円程度手元に残しておけば、生活できることになるので、少し余裕を持たせても生活費として3000万円確保していれば十分でしょう。

老後の住居費にいくら費やせる?

ここで、65歳時点での貯蓄について考えると、仮に奥様の収入がまるまるなかったとしても、単純計算で、年間200万円は貯蓄できそうなので、60歳までの18年間で3600万円を積み上げることができます。

60歳以降は、継続雇用や嘱託などで収入が下がるケースが多く、その場合、仮に収入と生活費でトントンだとしても、現在の貯蓄と退職金とを合算し運用を加味せずに1億2100万円の手元資金が準備できる計算となります。住居費以外の生活費3000万円を差し引くと、約9000万円が老後の住居費に費やせることになります。

老後の住まいの「3つの選択肢」

これらを加味した上で、ご相談者が取りうる老後の住まいの選択肢は大きく3つです。

1.手元資金を潤沢に賃貸に住む
老後も色々な地域に住みたい、あるいはその地域が肌に合わなかった場合に、転居する選択肢を残しておきたい場合は、手元資金を潤沢に残した上で賃貸に住むというのもアリでしょう。注意点は、賃貸のデメリットにも記載したように、高齢者になると借りられる物件が限られてくるのと、介護や夫婦のどちらか一人になった時の対応です。

2.住みたい地域と理想の家が見つかれば購入
老後までに住みたい地域や理想の家が見つかれば、購入するのもよいでしょう。ローンを組まなくても購入できるだけの資産はあるので、固定資産税などの税金やリフォーム資金だけ考えておけば、ずっと住み続けることができます。ただし、住み慣れた街でないと、合わなかった場合に転居がしにくいなどのデメリットもあるので、最悪貸せるようなマンションや、売却しやすい物件を選んだほうがよいかもしれません。

3.有料老人ホームなど高齢者向け施設を利用
お子さまがいないので、特に資産として残す必要もなく、介護状態になった場合や夫婦どちらか一人になった場合のことを考えて、介護付きの有料老人ホームなどを利用するのもひとつです。施設によって、入居の際の一時金や月々のコストも異なりますが、それなりの手元資金があれば十分選択肢として考えてもよいでしょう。注意点は、ご自身のこれまでの生活スタイルや生活レベルに合った施設を選ばないと、入居者同士の交流でストレスを抱えてしまうケースもあるので、どういった層の方が入居しているかの下調べは重要です。

有意義な生活を送るためには「貯める」だけでなく「使う」も考えて

ご相談者の場合は、今の生活を考えると、あまり資金的な不安はしなくても大丈夫のようです。それよりも、今後どのような生活を送りたいか、リタイア後の生活を具体的にイメージするのが重要です。

今我慢している趣味や将来やりたいことなどはないでしょうか。ぜひ、将来に備えて貯めることだけでなく、どう使うのかについても考え、理想の生活を実現していただきたいと思います

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