はじめに

物件の供給サイドにとっても低金利の恩恵は大きい

今、不動産投資が有利だと言われる理由のひとつに、低金利があります。この恩恵を受けるのは、投資家だけではありません。土地を買ったり建物を建てたりするために資金調達を行うゼネコンやデベロッパーといった供給サイドも、大きな恩恵を受けています。

金利が低いと仮にマンションが売れ残ってしまっても、デベロッパーの負担が極めて小さくなります。金利が7〜8%だったころに在庫が残ると大変で、大幅値下げしてでも売り切らないといけませんでしたが、今はそんな必要もない。マンション価格が大きく下落する必然性も低いのです。

ちなみに、地球上における日本の国土面積の割合は、わずか0.24%。この狭い日本の国土のうち、宅地の面積はわずか20%です。これが商業地域になると、もっと少なくなります。商業地域はそもそも希少性の高いエリアです。

今後、住宅地と商業地域の不動産の格差は、どんどん広がっていくでしょう。なぜなら住宅地を買うのは個人が中心なので、あまり上昇するとだれも買えなくなるからです。どんな高級住宅地でも、せいぜい坪単価300〜500万ぐらいでしょう。

これが商業地域だとゼロがひとつ、あるいは2つ増えます。なぜこれだけ差が出るかというと、土地が持つ「収益力」に圧倒的な差があるからです。これも重要なキーワードです。

例えば、銀座の駐車場料金の相場は10万円程度です。日本橋でも7万、渋谷で6万です。これが、郊外だと1万円まで下がります。この差は、土地が持つ稼ぐ力の差なのです。住宅地と違って、商業地は企業が買うので桁が違うんです。

安倍政権では、商業地の容積率緩和政策を推進していくことになっています。東京は狭い都市なので、上にいくしかないからです。現実として、個人が商業地域を買うのは難しいのですが、商業地域の一角を狙うという視点は重要になります。いずれにしてもこれからの不動産業界は、単なる二極化の時代は終わり、格差がさらに広がる「超二極化」の時代に変わっていきます。成長する商業地はどんどん上昇する一方で、空き家の多い地域はまだまだ下がっていくでしょう。

もうひとつ、不動産投資での重要なキーワードに「一戸あたりの住居の家賃の総額」があります。

東京都心では考えられませんが、地方都市では家賃が3万とか4万という物件は結構あります。ただ、どんなに家賃が安くても、最低限の管理に必要な費用はそこまで安くなりません。家賃総額があまりに低いと、収益が管理コストに圧迫され、何も残りません。やはり、家賃総額は8〜9万円程度は必要なのではないでしょうか。少なくとも5万円以下になると相当圧迫されてしまうでしょう。

ローン返済の元金は、自分の資産である

国税庁が発表している民間企業実態統計調査によると、今、日本にはサラリーマンが5000万人います。この中で、年収が1000万オーバーの人は4.5%くらい。ほとんどの人は1000万円の大台に到達することができません。

でも、年収が600万の人が不動産投資で400万の家賃収入を得られれば、合計で1000万にすることができます。

ローンを組んで返済している間は、家賃全部が手取りにならないから、収入はそんなに増えないと思いますよね? でも、そうじゃないんです。ローンというのは、利息と元金から構成されています。入居者が支払ってくれた家賃で返済しているローンのうち、元金部分は自分の資産です。これは年収に加算していいんです。これがダブルインカムです。

実はこの4年間に、年収500万オーバーの方が144万人増えています。不動産投資をする際に、良い条件で融資を受けるにはこのぐらいの年収は必要ですから、それができる人の絶対数が増えているということになります。これは不動産の潜在需要が増えていることになるので、この点にも注目していただきたいと思います。

有望なエリアのキーワードは「成長性」だとお話ししましたが、東京なら山手線が筆頭格になります。それ以外だと、昔から人気が高いのが東急沿線です。東急田園都市線、東急東横線、東急目黒線などがあります。東京メトロの半蔵門線は東急田園都市線が延伸した路線で、以前は水天宮止まりでしたが、錦糸町、さらには押上まで延伸されました。

これは、ブランド路線が西から東に延伸され、東側のブランドバリューがグンと上がったことになります。こうした「出遅れ株」を狙うのも妙味があるでしょう。

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