はじめに
東京の不動産には世界中から投資が集まっている
最近は物価連動債の入札が好調です。この状況は明らかにインフレを示唆しています。物価が上昇していく中で重要になる投資のキーワードは「成長性」です。
今、世界には資金が潤沢にあります。ファンドもそうで、投資残高は年々増えています。でも、お金はあっても投資する対象が足りていません。そこで不動産がターゲットになっています。
東京の不動産には、いったい誰が投資していると思いますか?
たとえば三井不動産とか三菱地所などが思い浮かぶと思いますが、こうした大手不動産会社の株主の半分は外国人投資家です。海外の年金ファンドもいます。外資系ファンドや地銀からも投資が入ってきています。つまり東京の不動産には、さまざまなところから資金が流入していることになります。
東京の不動産に人気がある理由は2つあります。ひとつは、アセットプロテクション、資産の保全です。そしてもうひとつが、その高い成長性です。
国土交通省が民間と共同で、緊急かつ重点的に市街地を整備する「都市再生緊急整備地域」を全国で指定しているのですが、その面積の4割が東京に集中しています。具体的には、池袋、新宿、品川、東京駅、秋葉原、上野と、山手線の主要ターミナルが対象です。東京には山手線を中心にどんどん投資が入っているのです。
これからの不動産投資には、「あいのり」というキーワードも重要になります。海外の投資家も含め、みんなが投資したがる成長性と知名度があるエリアに便乗して先行投資することが成功への近道となるからです。
「買う・売る・住む」で国際化が進む東京の不動産業界
今、日本は少子高齢化で人口が減り、婚姻数も減っていることが問題視されていますが、こうしたマクロデータには盲点があります。例えば婚姻件数の中でも「超国際結婚」は増えているんです。超国際結婚とはなにかというと、日本に住んでいる外国人同士で結婚することです。
台湾のとある大手不動産会社が、新宿に支店を持っています。先日、この支店を訪れる機会があったのですが、60人いるスタッフは全員台湾出身者でした。男女比は半々でもちろん中国語はペラペラ、さらに日本語も英語も流暢にあやつっていました。彼らはこうしたスキルを武器に、中国語で中華圏の投資家に、そして英語を使って欧米の投資家に、日本の不動産を売っているのです。要するに、買う人も売る人も外国人なんです。
東京の不動産は、買う人も、売る人も、住む人も、急速に国際化が進んでいます。アジアヘッドクォーター特区に指定される地域では、外国企業の誘致プロジェクトも進んでいます。東京に海外企業のオフィスが増えれば、当然、賃貸需要も増えることは想像がつきますね。
ここでまた、重要なキーワードです。
有利な投資ができる家賃が下がらないエリアは「法人賃貸契約」の可能性が高い場所です。東京の主要産業は金融、IT、サービスです。いずれも高収益で、福利厚生や家賃補助も手厚い産業なので、スタッフのために会社が利便性の高い賃貸物件を契約することが考えられます。ただ法人賃貸物件そのものである必要はなく、法人賃貸の可能性がある場所を狙っていく姿勢が重要です。
特にその可能性が高い場所のキーワードは「マルチアクセス」です。複数の路線や駅が使えるエリアで、急行が止まったり乗換ができる駅であればベストです。事故などで運転が止まるとどこにも行けなくなってしまう街は、約束を反故できない人には住みづらいものですから。
日本の賃貸物件は狭いので外国人に需要があるか心配になる人もいるらっしゃるかもしれません。実は私は銀座にワンルームマンションを持っているんですが、16平方メートルしかない大変狭い物件です。興味を持ってくれた中国の方をご案内したら、「随分広い玄関ですね」と驚かれてしまいましたよ。いやいやこれ、玄関じゃない。部屋だからと説明しなければなりませんでした。
こんなに驚かれるほど狭い物件でも、心配はいりません。立地さえよければ、十分カバーできるからです。たとえば近くにスターバックスがあれば、セカンドリビングルームや勉強部屋として使えます。近くに銭湯やサウナがあれば、セカンドバスになりますね。入居者には周辺環境も含めて選ぶ感覚が強くなっているので、部屋自体は狭くていいんです。投資物件を選ぶ際には、こうした視点も必要になってきます。