はじめに

借金の仕組みを知ると返済の優先順位がわかる

ご相談者さんには、現在580万円の借入があります。このうち380万円は奨学金、200万円が消費者金融やクレジットカードです。日本学生支援機構の奨学金の場合、上限金利は3%となっていますが、近年はもっと低い金利です。消費者金融やクレジットカードの場合、どこで借りているかにもよりますが、15%前後あるでしょうか。

ここで、200万円を年利15%で借りた場合の支払い利息について考えてみましょう。
200万円×15%=30万円

この場合、200万円を借りて1年間返済しないでいると、年間30万円借金が増えます。30万円÷12ヵ月=2.5万円ですから、月額2万5000円の返済では、その年の利息を返しただけで、元金までは返せていないことになります。(話を分かりやすくするために、単純計算で説明しています。詳しくは借入先の発行する明細や、シミュレーション機能を使って確認してください)

金利が高い借金を利用している場合には、できるだけ短期で集中して元金を減らしていく必要があります。

奨学金の返済猶予の交渉を

一方の奨学金は、学生のための学費や生活費に利用目的が限定されている分、金利が低めに設定されています。こちらも借金ですから、返さなくてはなりません。ただし、生活が困窮して返済困難になった人のために、支払い猶予の制度があります。

日本学生支援機構の場合、経済的に困難な事由で「減額返還(返済額を減らせる)」できるのが、給与所得者の場合には年収325万円以下、「返済期限猶予(返済期間を延ばせる)」できるのが、年収300万円以下という規定があります。日本学生支援機構HPをご覧ください。

ご相談者さんの場合には、こちらの年収基準を超えていますが、まずは問い合わせをして、なにか返済を遅らせる手はないか相談をしてはいかがでしょうか。もしも奨学金の返済を遅らせるか減額できた場合には、金利の高い消費者金融の返済に注力できるようになります。

副業で収入を増やす方法も

もう一つ、返済スピードを速める方法としては、副業があります。現在の本業のほかに、別の仕事をして副収入を得るのです。本業の会社で副業が禁じられていないこと、本業に支障のない範囲内でやることが条件になります。社宅住まいということで、どこまでできるか気になりますが、もし可能であれば月に2〜5万円程度の収入を増やせるのではないでしょうか。

いろいろ書いてきましたが、まずは、家計を見直して「削減できる支出」をカットし、ボーナスを中心になるべくまとまった金額をクレジットカード・消費者金融の返済に充てましょう。金利の高い借金からなるべく早く返していきます。返済猶予の相談や、副業なども検討してみましょう。

それらもすべて試して無理な場合には、弁護士さんに相談して任意整理や自己破産という道もありますが、私が拝見する限りできることはまだまだあります。がんばってください。

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