はじめに

実家に住む予定がある場合

相談者様がリタイアした後、都内から山梨の実家に戻るのかどうかがポイントになります。都心から離れたところでのんびり暮らしたいというお気持ちがあり、その住まいとして実家を想定していらっしゃるということでしょうか。奥様にまだ話していないということなので、10年くらい先の話になると思いますが、奥様の考えもしっかり聞いた上で、判断する必要があるでしょう。奥様が住み慣れた都内で老後も暮らしたいというのであれば、「住む予定がある」という選択肢は取れないでしょう。

奥様も山梨に住むことに賛成しているのであれば、実家の現状を維持し、リフォームして住むのか、リタイア後に建て替えて住むのか、予め方針を決めておく必要があります。築40年の家をリフォームして住むのであれば、約10年間、ある程度お金をかけて建物を維持する必要があります。建て替えを前提とするならば、必要最低限の維持管理で済むでしょう。

自分たちが移住するまでの間、賃貸に出すという選択肢もあるかもしれません。ただし、賃貸需要があるかどうかは、地元の不動産業者に確認しておく必要があります。ただし、相談者様の実家の場合、戸建て住宅の賃貸といっても築年数も古く、月5-6万円前後が相場と思われます。修繕などのメンテナンス費用、固定資産税等を考えると、それほど多くの収益は見込まれないのではないかと思います。家賃を上げるために大規模リフォームをという考えがあったとしても、投資に対するリターン(賃料アップ)の効果は、それほど見込めません。現状を維持しつつ、移住のときにリフォーム、あるいは建て替えをするという計画の方か良いでしょう。また、将来、自分たちが住むことを前提として、人に貸す場合は、定期借家契約をするなど、予め対策を取っておく必要があります。

実家に住む予定がない場合

実家に住む予定がない場合は、「手放す」か、保有し「有効活用」のいずれかが選択肢になります。手放す方法の第一の選択肢として、売却があります。地元の不動産業者を通して売却を進める方法と、最近では、市区町村単位で空き家バンク事業を行っているので、物件登録をするという選択肢もあります。相談者様の実家周辺の不動産市場を土地総合情報システムの「不動産取引価格情報検索」で調べると、類似の立地・広さで700〜800万円前後が相場のようです。また、登録されている取引も前年に複数の実績があることから、現在のところ、一定の需要がある不動産であると推察されます。売却すると決めた場合、地方では、よほどの特殊事情がない限り、地価が上がることは期待できませんので、早急に実行に移した方が良いでしょう。
・参考サイト:土地総合情報システム(国土交通省)

住む予定がなく、需要が見込めない地域の場合

相談者様の実家の場合、市場での需要がある程度見込める物件ですが、需要が見込めない地域の場合は、価格もつかず、保有コスト(固定資産税、修繕費用、除草などの維持管理費用)だけがかかってしまうので、親戚や隣地の所有者に低額で売却、あるいは、無償で譲渡するという選択肢もあると思います。自治体への寄附を考えられた人もいるかもしれませんが、自治体にとって有用な不動産でない場合は、基本的には寄附は受けられないケースがほとんどです。

「有効活用する」場合の選択肢を知る

不動産を売却せずに賃貸し、有効活用するという選択肢を取る場合、「修繕して貸す」「建て替えて貸す」のいずれかの方法をとると思います。不動産投資として考えた場合、他の選択肢と効率性を比較検討することが重要です。実家の不動産を有効活用するというのは、不動産投資では選択肢の1つに過ぎません。実家を売却し、その売却代金を使って、より有利な不動産投資先があるのであれば、そちらを選択した方が合理的です。不動産投資をする際、実家の不動産に縛られる必要はないのです。

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